研究課題/領域番号 |
18K13852
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白柳 洋俊 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (10756654)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | FDI効果 / 店舗ファサード / 視覚刺激 |
研究実績の概要 |
平成30年度は,空間移動時におけるFDI効果(filled-duration illusion)として,まちなか回遊時における空間体験に対象を絞り,(1)同空間体験中にFDI効果を発現させる視覚刺激強度を定量化するとともに,(2)同刺激強度がFDI効果に与える影響を明らかにした. (1)については,空間デザイン的観点から移動空間の印象としての重要性,デザイン対象としての可能性,また認知科学的観点から移動空間を認知する上での重要性から,店舗ファサード画像を対象とし,同画像内に占める店舗ファサード情報の面積を算出し,これを視覚に影響を与える物理量とした.つづいて,同物理量の時間微分を視覚刺激強度と定義し,定量化を図った.具体的には,類似の店舗ファサード画像が展開するパタン,相違する店舗ファサード画像が展開するパタンを設定するとともに,各画像の展開パタンにおける視覚刺激強度を店舗ファサード画像内の物理量の変化量に対する時間微分として定量化した. (2)については,視覚刺激強度がFDI効果に影響を与えるとの仮説を措定し,同仮説を室内実験により検証した.具体的には,まちなか回遊時における街並みの認知を,店舗ファサードの系列的な認知と抽象化した上で,類似する店舗ファサードを系列提示したのち,相違する店舗ファサードを提示し,店舗ファサードの視覚刺激強度がFDI効果に与える影響をオドボールパラダイムに基づく時間評定課題により検証した.その結果,視覚刺激強度が高い街並動画は,参加者に強い記憶痕跡の形成を促し,その結果主観的時間が伸長するFTI(filled time travel)が発現する可能性が推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視覚刺激強度の算定手法の妥当性について問題が残るものの,実験動画の作成,実験手法の確立,FDI効果の発現の可能性評価などを実施した.以上の成果は次年度の研究進展・発展につながると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い,実空間におけるFDI効果の発現を明らかにし,同効果に影響を与える視覚的要因を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画より執行を抑える事ができたため,次年度使用額が発生した.次年度は当該助成金を成果を発表するための旅費,また実験遂行にかかる人件費・謝金として使用する計画である.
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