東南アジアと日本の水環境から試料を採取し,バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の分布調査を実施した。タイと日本の下水処理場からVRE株のスクリーニングし、VREに関わる耐性遺伝子を検出した結果,vanAがタイと日本の流入下水からそれぞれ14%(139株),0.5%(184株)検出された。日本とタイで分離したvanAを保有するVRE株20株について耐性遺伝子の伝播を評価したところ,日本で分離した菌株のみ伝播が確認され,その伝播率は10-7~10-8の範囲であった。一方,タイで分離した19株のVREは接合伝達による伝播が確認されなかったことから,伝播機構に差があると考えられた。
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