研究課題/領域番号 |
18K13860
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
羽深 昭 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 特別研究員 (30735353)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | リン回収 / 吸着剤 / 下水汚泥 / メタン発酵 / 水処理膜 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、過去の研究で開発したリン吸着膜を下水汚泥の消化プロセスに組み込むことで、リン回収およびバイオガス生成を同時に達成する新規資源回収型消化プロセスを構築することである。2018年度はリン吸着膜を用いた消化汚泥のろ過、市販のMF膜モジュールを組み込んだ消化リアクターの運転に取り組んだ。 TS濃度2%の消化汚泥を全量ろ過し、膜間差圧を測定することでリン吸着膜の目詰まりの進行度合いを調べた。その結果、リン吸着膜とリン吸着剤を担持していないポリスルホン膜との間に差は見られず、膜ろ過フラックス0.1 m/dを維持すると、膜ろ過時間12時間後から膜間差圧の急激な上昇が確認された。また、同様の消化汚泥を用いてクロスフローろ過試験を行った結果、50時間経過後も膜間差圧は5 kPa以下であった。この試験においてCOD除去率は99%と高く、リン吸着量は6 kg-P/m2であった。つづいて、膜の洗浄方法を検討した結果、有機物除去を目的とした次亜塩素酸ナトリウム溶液での膜洗浄中にはリンの脱着はほとんどなく、リン回収を目的とした水酸化ナトリウム溶液での膜洗浄において、吸着したリンの94%が脱着できた。 消化リアクターの運転においては、廃活性汚泥の濃縮と消化を同時に行いつつ、HRTを徐々に短縮した。最終的にHRTを15日とし、固形物濃度2%を維持した定常運転を行う事ができた。本実験では、市販の槽外型MF膜モジュールを使用し、低膜ろ過フラックスを維持したクロスフローろ過を行うことで、膜洗浄を行うことなく長期間にわたり膜間差圧の上昇を抑えることに成功した。さらに、長期運転終了後の膜の目詰まりに関して、その形態を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進行しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、リン吸着膜を導入した消化リアクターを構築する。
|