研究課題/領域番号 |
18K13860
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
羽深 昭 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30735353)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リン回収 / 嫌気性消化 / メタン発酵 / 下水汚泥 / 混合生汚泥 / 吸着剤 / 膜分離 / クロスフローろ過 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、応募者が独自に開発したリン吸着膜を下水汚泥の消化プロセスに適用することで、下水汚泥からのリン回収およびバイオガス生成を同時に達成する新規資源回収型消化プロセスを構築することである。2020年度はリン吸着膜ろ過ユニットを組み込んだ嫌気性消化リアクターの構築を行い、試運転を行った。 有効容積6Lの嫌気性消化リアクターを作製し、これに平膜ろ過用セルを接続し、セルに作製したリン吸着膜(吸着剤含有量43wt%)をセットした。すなわち、リン吸着膜を組み込んだ嫌気性膜分離リアクターを構築した。実下水処理場に設置されている嫌気性消化槽より得た消化汚泥を種汚泥に、実下水処理場より得た混合生汚泥を投入基質とし、嫌気性消化リアクターの立ち上げを行った。消化温度は35℃とした(中温発酵)。その後、定期的に混合生汚泥を投入し、馴致を行った。なお、別の投入基質として最初沈殿池流出水から回収した有機物も候補とし、別途回分式嫌気性消化実験も行った。新規嫌気性膜分離リアクターからのバイオガス生成速度が安定した後、接続した膜ろ過ユニットに消化汚泥を通水し、リン吸着膜ろ過実験を行った。クロスフロー流速は0.1m/secと一定にし、まず、膜ろ過フラックスがリン吸着量に与える影響を検討した。その結果、同じ量の消化汚泥をろ過した場合でも、膜ろ過フラックスの違いによりリン吸着量に違いがみられ、膜ろ過フラックスが高い方がリン吸着量も高いことが明らかとなった。また、膜の目詰まりの指標となる膜間差圧は短期ろ過実験中には6kPa程度の上昇にとどまり、クロスフローろ過の効果が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに新規リアクターを構築でき、運転性能を評価できる段階に入ったため。
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今後の研究の推進方策 |
構築した新規リアクターの運転を行う。HRT、SRT、膜ろ過フラックス、膜ろ過頻度等の運転条件を変化させ、各運転条件でのバイオガス生成能とリン回収率等を評価する。
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