研究課題/領域番号 |
18K13862
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研究機関 | 都城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
黒田 恭平 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (50783213)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 共生きのこ生産学 / 高付加価値きのこ / 下水汚泥肥料 / 共生微生物 / 活性化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,未利用バイオマス資源である下水汚泥培地を用いて高付加価値 (高アミノ酸含有,食味・香りを向上)きのこ栽培技術を開発することとし,「何故,下水汚泥を培地基材に用いることにより高アミノ酸含有きのこができるのか?」という問い(仮説)についてその形成機序を微生物学・分子生物学的観点から学術的に解明することにある。我々の研究グループでは,下水汚泥培地を用いた高付加価値食用きのこの栽培に成功しているが,その形成機序は不明であり仮説の段階である。本研究により その形成機序を学術的に解明することで,科学的知見に基づいた高付加価値食用きのこ栽培技術の最適化・マニュアル化が可能となる。 令和元年度は、下水汚泥肥料を用いて栽培したマッシュルームに共生する微生物群を明らかにするため、マッシュルーム子実体の殻皮、ひだ等の箇所を粉砕し、Nutrient Broth (NB) 培地、Diluted NB (DNB) 培地を用いた微生物群の分離培養と16S rRNA遺伝子解析を行った。結果, Pseudomonas 属(存在割合:4.7~59.3%),Burkholderia 属(存在割合:1.4~25.0%),Comamonadaceae 科(存 在割合:5.5~10.2%),がマッシュルーム子実体に優占して存在することがわかった。マッシュルーム子実体に生息する微生物群の分離培養では,NB 培地,DNB 培地 を用いて子実体粉砕物からPseudomonas属,Rhodococcus属などを含む 61 株の細菌の分離培養に成功した。分離株のうち,子実体に平均して最も優占する系統群の近縁種は分離できたが,他の優占種の分離培養には課題が残った。現在、マッシュルーム菌糸との共培養実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、研究実施計画に従い、下水汚泥肥料を用いて栽培したマッシュルーム子実体に生息する微生物群を明らかにすると共に、優占微生物群の分離培養に成功した。これにより、マッシュルーム菌糸と分離株の共培養実験が可能となり、マッシュルーム菌糸の成長促進微生物及び物質を同定できると考えられる。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画に従い、下水汚泥肥料中に優占する微生物群、令和元年度で分離培養したマッシュルーム子実体で優占する微生物群とマッシュルーム菌糸の共培養実験を行い、マッシュルームの成長促進を担う微生物群の同定を行い、新たな高付加価値きのこ生産技術開発のための基礎的知見を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に水環境学会年会でポスター発表を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、その差額が未使用額となった。 また、令和元年度では想定よりも多い分離株が得られていることから、これら分離株の培養及び代謝解析に未使用額を充てることとする。
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