連続体シェル構造物を対象として,実際の施工過程における構造材料の物性と施工可能な曲面形状の関係を明らかにし,これまで提案してきたシェル構造の最適化手法を拡張した新たな形状決定手法を開発する。本年度は主として前年度の研究成果を深化させることに努めた。成果は以下の通りである。 ・前年度に構築した配筋施工性を考慮したRC空間構造物の形状最適化法を発展させ,パラメトリック曲面の曲率に基づいた施工性の評価指標を考案し,それを用いた形状最適化法を構築した。連続体シェル形状への適用に先立ち,線材モデル(ラチスシェル)を使って有効性の検証を行った。 ・連続体シェル型枠の仮設材料への想定も考慮し,接合部材を変数とした木質構造の最適設計手法の検討した。仮設材料への応用に先立ち,木質パネルを使ったシェル構造の接合部材の配置最適化法,木質骨組の最適設計法を構築した。 ・前年度に構築した完成状態の最適形状と施工段階における最適支保工撤去順序を同時に求める手法を整理した。これはスプライン関数の制御点座標と支保工撤去順序を設計変数とし,撤去時に生じるひずみエネルギーの総和を目的関数とする最適化問題を定式化したもので,局所探索法を組み込み,効率よく支保工撤去順序と形状を求めるアルゴリズムを提案している。現在,論文投稿を行い,審査段階にある。
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