研究実績の概要 |
フライアッシュ(FA)および高炉スラグ微粉末(BFS)を用いたコンクリートの中性化抵抗性を評価することを目的として、定期的に吸水をさせたコンクリート供試体を用いて促進中性化試験、トレント法による透気試験、3層式チャンバーを用いた吸水試験を行った。 コンクリートの調合について、基準コンクリートの水セメント比は40,50,60および70%とした。混和材を用いたコンクリートでは、混和材の強度寄与率を考慮した有効水結合材比が50%の水準において、FA置換率は10,20,30%、BFS置換率は25,50%とし、比表面積の異なるFA 2種類(JISⅡ種相当)およびBFS2種類(4000および6000ブレーン)を使用した。試験体は、打設後1日で脱型し、材齢28日まで標準養生を行い、その後28日間気中養生を行い暴露した。促進中性化試験では100×100×400mmの角柱を作製し、側面を除く4面を暴露開始前にアルミテープでシールした。透気試験および吸水試験では200×200×60mm平板を作製し、打設面および底面を除く4面をアルミテープでシールした。中性化促進試験は、20℃、RH60%、CO2濃度5%とし、1週間に1回、供試体の側面を24時間吸水させた条件についても検討した。中性化深さの測定は促進期間1、4、13週で、透気および吸水試験は、暴露開始前、促進期間4、13週で行った。実験は継続中であり、促進期間26週においても試験を実施する予定である。 本研究は、主に建築構造物の躯体材料として使用されている鉄筋コンクリートについて、環境負荷の低減や、アルカリシリカ反応の抑制、遮塩性の向上などが図れるFAおよびBFSを用いた場合の中性化抵抗性を定量的に評価すること目的としており、これら混和材を用いた鉄筋コンクリート構造物の中性化抵抗性に対する耐久性照査を行う上で必要な基礎資料となりうる研究である。
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