本研究では,金属系アンカー(芯棒打込み式)および接着系アンカー(有機系:エポキシ,無機系:セメント)を用い,コンクリート母材の径,母材の側面拘束の有無,載荷面の拘束の有無で異なる供試体について,て環境温度20,35,50,65,80℃において加熱中および加熱冷却後について引抜き試験を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。 金属系アンカーは,母材径や側面拘束の有無に関係なく,同じような値となり,温度が高くなると最大荷重が低下し,その低下はほぼ線形となること,また,熱間試験と冷間試験の比較では,冷間試験の温度上昇に伴う最大荷重の低下が緩やかとなる。 有機系アンカーは,母材径の違いに関係なく,ほぼ同じような値で,温度が高くなると低下し,また,載荷板の非拘束径に関しては,付着破壊となる非拘束径21mmの最大荷重が高くなる。 無機系アンカーは,母材径の違いに関係なく,ほぼ同じような値で,温度が高くなると低下する傾向にあるが,その低下は有機系と比較して緩やかとなること,また,載荷板の非拘束径に関しては,付着破壊となる非拘束径21mmの最大荷重が高くなることが明らかになり,温度50℃時の最大荷重が大きくなる場合があることが確認された。 また,各アンカーの引抜き時の最大荷重とコンクリートの圧縮強度の関係既往と同様に,100℃未満の環境温度の範囲においてもアンカー引抜き時の最大荷重とコンクリートの圧縮強度との間には相関がある結果となった。
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