研究実績の概要 |
研究最終年度(R2年度)の具体的な実施状況を以下のように報告する. 1)ナノスケールからマイクロスケールのエアロゾル粒子を対象としたEuler-Lagrange系の気道内エアロゾル濃度分布解析法を開発・整理した.また,検証済みの乱流モデルと統合したLagrange粒子追跡モデルを開発し,粒子挙動解析を実施した.
2) サロゲート動物と人体の気道内粒子挙動解析を実施した結果,粒径5-100nmのナノスケール粒子の場合,粒子の輸送現象はブラウンモーションならびに乱流拡散に支配的に影響され,粒子の壁面沈着に一定影響を及ぼすことが両者の解析から確認でき,粒径25nm以下の粒子の場合,サロゲート動物の気道内にて人体の気道内より高い沈着効率が確認された.この解析結果を含む一連のデータを総合的に検討し,各気道モデルの複雑幾何形状の違いを反映するための形状係数を同定し,各モデルの粒子拡散モデルに導入することで,サロゲート動物における気道内粒子沈着現象の理解とヒトへの外挿を可能とする基盤技術を確立した.
3)人の経気道暴露メカニズムの更なる解明のために,人間の上気道を対象とした数値気道モデルを人体の個体差を再現した上で3種類のモデルを作成し,本研究で開発したCFD解析手法の基に,換気指標(SVE3, L-PFR)を導入した気道内換気性状の定量的分析を実施し,呼吸に伴う経気道暴露リスク評価のための基礎情報として整備した.
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