研究課題/領域番号 |
18K13881
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松鵜 さとみ (松鵜さとみ) 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (10713349)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 微生物 / 地中冷温熱 / 真菌 / PCR / カビ毒 |
研究実績の概要 |
本研究は、以下の2つの目的で研究を行った。(1)蒸暑地域に設置されたアースピット内の微生物汚染の状況を明らかにすること。(2)アースピットで空気質汚染を引き起こす真菌の菌種と病原性の有無を明らかにすること。 本研究では、日本建築学会基準に則った方法でアースピットを有する建物で浮遊真菌を採取し、これを単離培養後、市販されているDNA抽出・PCR法解析キットを用いて解析を行い、得られたDNA塩基配列情報をシーケンス用プログラム(BLAST)で相同性検索を行った。 その結果、2018年度は以下の知見が得られた。 (1)今年度は夏期(6月)と冬期(2月)の2回サンプリング調査を行い、浮遊真菌から13種類の菌属・23種類の菌種を推定した。(2)夏期と冬期では、多く検出される菌属・菌種が異なり、夏はAspergillus属が、冬はcladosporium属が最も多く検出された。(3)浮遊真菌から、Aspergillus versicolor など、マイコトキシン(カビ毒)産生菌を検出した。(4)今回検出されたカビ毒産生菌は、アースピット内の建材表面でも同じ菌種が検出されており、建材汚染の可能性が推察される。(5)アースピット内の浮遊真菌から、建築資材を劣化させることが知られている真菌を検出した。(6)これまでの調査と同じく、アースピット内の浮遊真菌濃度は高く、外気の約20倍であった。また、夏期の居室内は日本建築学会維持管理規準濃度を超える濃度であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、温湿度の測定、空中浮遊菌サンプラーを用いた浮遊微生物濃度の測定と浮遊真菌の分類を行った。 空中浮遊菌サンプラーを用いた測定は、9月にサンプラーが故障したため、秋期の測定は行えなかったが、夏期と冬期の測定を行うことができた。しかし、メンブレンフィルタを用いた浮遊菌測定は、必要機器の納入が予定より大幅に遅れたため、行うことができなかった。 浮遊真菌の分類は、当初計画した手順とは異なる方法となったが、時間がかかったものの順調に真菌の分類を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度も昨年度と同様に、空中浮遊菌サンプラーを用いた浮遊微生物濃度の測定、浮遊真菌の分類を行う。 昨年度おこなうことができなかった秋期のサンプリング、メンブレンフィルタを用いた測定を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定より物品費はやや超過したが、旅費とその他(解析委託)が下回り、2万円弱残った。次年度は解析委託料の値上げが決まっており、今年度の残額も使用する予定である。
|