研究課題/領域番号 |
18K13883
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
神農 悠聖 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (50352977)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 夜間景観 / 屋外広告物 / 輝度 / 輝度規制 |
研究実績の概要 |
本研究課題では夜間景観構成要素の一つである屋外広告物に着目し、良好な夜間景観の整備に向け、地域の特性ごとに最適となる定量的な基準(評価指標)の構築を目指している。そのために、地域特性ごとに夜間の屋外広告物の輝度値の実態を把握した上で、各地域特性に相応しい夜間景観を検討するため現場で主観評価実験を実施する。 初年度の2018年度は、兵庫県内で屋外広告物に関する条例を定めている9つの自治体を対象としてヒアリング調査を行い、夜間景観施策の現状と問題点、及び今後の施策予定等を把握した。また、各地域特性による夜間の屋外広告物の輝度値の実態を把握するため、まずは兵庫県内の都市中心部である神戸市三宮の繁華街を調査対象地として、現地で予備調査を行って具体的な測定エリアを決定し、実測の準備を完了した。 2019年度は、2018年度に続き、神戸市三宮の繁華街において広告物(内照式・外照式)の文字とその背景、広告物が設置された建物の壁面の輝度・色度を実測した。また広告物の照明状況を把握するため,照明方式,照明部位,光源の動作(点滅,動画など)を調査した。さらに、繁華街の夜間街路空間を観察してもらい、屋外広告物のまぶしさ、不快さの程度、安心感や視環境の適切さを評価させる被験者実験を現地で行った。実測した輝度に関して分析を行った結果、都市中心部である神戸市の繁華街の周辺環境が西宮市に比べて明るいことや、周辺環境の明るさが神戸市の繁華街の看板の目立ちに影響を及ぼしていることが明らかとなった。(神戸市三宮の繁華街の輝度の実測に関する成果は2020年度の関連学会で公表。) さらに地域特性ごとの特徴を捉えるため、郊外の住宅地である西宮市の住居地域を調査対象地として予備調査を行い、具体的な測定エリアを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の計画では、2018年度は、1)自治体へのヒアリング調査の実施、2)調査対象地の検討、3)都市中心部(神戸市三宮)で実測調査と分析、2019年度は、4)郊外住宅地(西宮市)、5)地方都市で実測調査と分析を行うことを挙げていた。 このうち、1)と2)については2018年度に実施済みである。2019年度は、3)の神戸市三宮における実測調査と分析を実施した。さらに、神戸市三宮における夜間街路空間の主観評価実験を実施した。4)の郊外住宅地(西宮市)については、現地における予備調査により具体的な測定エリアを決定し、調査準備を完了したが、実測は未実施である。5)の地方都市については未着手である。 3)において、申請時の計画では予定していなかった主観評価実験を、各地域特性に適した夜間街路空間を検討するために追加したことや、4)の実測を新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかったことから、当初の計画よりも進捗がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、郊外住宅地(西宮市)及び地方都市、歴史的町並みにおいて、夜間の屋外広告物およびその周辺環境の輝度・色度の実測調査を実施する。調査後はデータ整理を行い、看板内背景・文字や建物壁面の輝度値、文字と看板内背景との輝度対比、壁面に対する看板の最も明るい部分の輝度比等について分析し、各地域特性による特徴を明らかにする。 新型コロナウイルス感染症の影響により、今後も調査を実施できない時期が発生する可能性はあるが、国・兵庫県の動向や各地域における感染状況を注視しながら、調査を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた郊外住宅地(西宮市)及び地方都市の実測調査を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2020年度に郊外住宅地(西宮市)及び地方都市の実測調査を実施するための旅費や測定補助の人件費として使用することを計画している。
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