研究課題/領域番号 |
18K13886
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
加戸 啓太 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60727379)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 建築構法 / 知識表現 / 三次元モデル / 部品管理 |
研究実績の概要 |
本研究は、建築を構成する部品は本来は抽象的なものであり、「ある視点では一つとして捉えられていた部品が、別の視点からは複数の部品に区別して捉えられるべきこともある」といったように、様々に表現されるものであるという考えに着目している。この考えのもと、BIM(Building Information Modeling)においてそのような部品表現を可能にするための手法について考察を行うものである。研究の実施にあたってのサブテーマを、A) 扱うべき部品の性質に関する考察、B) 構法の知識ベース化、C) データベースのスキーマ設計と実装、D) 他ソフトウェアとの連携、検証、の四テーマに整理している。 今年度は、B)、C)について重点的に研究を行った。 B)では、建築の構成方法(構法)をコンピューター言語で記述し、それを三次元モデルと関係性のネットワークとしてビジュアルに表現するための手法を試作した。 C)では、データベースで部品単位でバージョン管理を行う手法について、プロトタイプを実装し検討を行った。部品単位のでバージョン管理システムの試作を通して、部品(実体)の三次元モデルにディテールを追加し、制作を行うという工程において生ずる更新、分割、設計案の分岐が適切に管理できることを確認した。 また、D)では、このような表現の可視化手法として想定しているゲームエンジンについて、三次元CADとゲームエンジンとの情報連携に関する整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
B) 構法の知識ベース化では、寸法や部品、実体などのオブジェクトを組み合わせプログラミングを行うことで、三次元モデル化とその内部における上記オブジェクトの構成をネットワークとして可視化することができる仕組みを提案することができた。BIMにおいて部品を適切に管理し再利用するための一手法となると考えている。 C) データベースのスキーマ設計と実装では、題材を更新、分割、設計案の分岐と設定(限定)してはいるが、ツリー構造を拡張したデータベーススキーマにてこれらが適切に扱えることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は特に、C) データベースのスキーマ設計と実装を重点的に進めることを計画している。今年度はケーススタディとして部品(実体)の更新、分割、設計案の分岐を扱うことを題材とし、ツリー構造を基本としたデータベーススキーマを採用した。部品の階層的な構造は単なる親子関係のツリーになっているとは限らず、複数の親を持つネットワーク状の構造となると考えられる。ツリー構造における検討を発展させ、ネットワーク状の構造について扱うことをまずは検討する。 B) 構法の知識ベース化については、寸法や部品、実体を扱うことを想定し試作を行ったが、その中で扱われている設計手法といった「方法」についても合理的に扱えるようにシステムの構成を整理したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はシステムの試作およびそれを通した検討を重点的に行ったため、執行予定であったデータベースサーバの調達は行わなかった。次年度執行予定である。
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