研究課題/領域番号 |
18K13892
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新 雄太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50739224)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域コミュニティ / 地域素材 / 空き家 / まちづくり / 地域運営 |
研究実績の概要 |
初年度である2018年度は,文献調査を中心に据えつつ,2019年度から開始する現地調査の計画検討を進めた。 まず,建築を構成する地域素材の活用事例や,地域素材そのものの産地特有の摘出方法・加工技術・構法の工夫などの基礎的な書籍や文献等を収集することができた。ただし,現在のところ,建築を構成する地域素材がいかに地域コミュニティ(結い)と関係して持続的に使いこなされてきたのかに関する資料は僅少であり,現地での調査がやはり求められる。 そこで,こうした現地での調査を遂行するための小規模な研究会を立ち上げることとした。地域の素材を採取し知恵を絞って暮らしのなかに取り入れてきた地域コミュニティの営み〈ユイ〉と,それによって築かれる暮らし〈イエ〉の関係に焦点を当てた「結と家研究会」の準備を年度後半から進めてきた。具体的には,残り2年間を掛けて,研究者の研究フィールドである長野県内各地で全10箇所での調査(聞き取り調査,実測調査,再現調査等)を通じて各地の成果をケースレポートとして蓄積する予定である。 すでに,1箇所目の藤蔓(植物利用)をテーマにする調査は,長野県佐久穂町で行うため関係者間と準備を進めている。2箇所目は,長野県戸隠で茅をテーマに行う。現在は,それぞれの地域郷土史の文献調査や,素材研究,現地での聞き取り調査等の段取りを進めている。 また,長野県各地の自治体から招待講演(まちづくり,地域運営,空き家他)があり,本研究(文献調査等)で得られた成果を織り交ぜ講演を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の収集は順調にできている。それらを整理・体系化する作業を2019年度末にかけて引き続き行う。 様々な対象の地域素材と対象地域が存在するため,研究者のよく知る長野県を研究フィールドとして改めて定め,2019年度から開始する本格的な現地調査を遂行するため,研究会を立ち上げることとし,現地の関係者との準備が順調に進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
前述の「結と家研究会」(2年間)を開始する。具体の地域コミュニティと地域素材を対象に,聞き取り調査,実測調査,再現調査等を通じて,建築を構成する地域素材がいかに地域コミュニティ(結い)と関係して持続的に使いこなされてきたのかについて対象毎に明らかにし,ケースレポートとして蓄積する。可能な限り,これらの成果を基に学会発表・論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体の進捗は順調に推移しているが,初年度にも現地調査が可能なように想定していた旅費等が当初予定より使われていない。 また,国外での調査も当初のとおり現在も想定しているが,初年度は実現できなかったため,生じている。
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