研究課題/領域番号 |
18K13892
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新 雄太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50739224)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域コミュニティ / 地域素材 / まちづくり / 空き家 / 地域運営 |
研究実績の概要 |
二年度目である2019年度は,年度初めに立ち上げた「結と家研究会」の活動を中心に据えた現地調査を進めた。地域の素材を採取し知恵を絞って暮らしのなかに取り入れてきた地域コミュニティの営み〈ユイ〉と,それによって築かれる暮らし〈イエ〉の関係に焦点を当てた研究会である。 2018年度の文献調査等を基にして,6月には「藤蔓」をテーマに長野県佐久穂町佐口集落にて,唯一用いられてきた「藤蔓分水」をめぐる聞き取り調査,実測調査,再現調査を合宿形式で実施し,現地の住民や関係者を集めて成果報告会を実施した。11月には,「茅」をテーマに長野県長野市戸隠中社地区にて同様の内容で実施した。茅刈りの時期に合わせ,茅ニョウを現地の茅葺職人らとつくるワークショップも実施した。越冬させたニョウの運び出しから屋根葺きまでを行う第2回目を2020年度の春に予定していたが,COVID-19の影響で延期している。また12月には,「麻」をテーマに長野県大町市美麻地区にて,同様に実施した。何れも各自治体担当課と連携して進め,現地メディアにも複数取り上げていただいた。年明け以降は,2020年度に予定している「茅(第2回)」「炭焼き」「鉄平石」等の準備を現地と進めていたが,COVID-19の影響で現地に赴くことが困難となり,諸種の打ち合わせやプレ調査が延期となっている。 そして昨年度から同様に,長野県各地の自治体から招待講演(まちづくり,地域運営,空き家他)があり,本研究で得られた成果を含めた講演を行なった。また,公益財団法人 八十二文化財団発行の「地域文化」133夏号にて,本研究の成果の一部を紹介する原稿を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各地での調査準備から実施,報告に至るまでに工数を要しており,またCOVID-19の影響で諸種の進捗がストップしていることから,当初全10箇所としていた現地調査はケースを調整する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,COVID-19による社会情勢や現地の状況等を鑑みて進捗することとなる。予定していた地域素材ごとの結いの姿をひもとく研究会の調査活動を中心に据え,各地で実施する予定である。 また招待講演にて発表する機会には恵まれているが,学会等への報告や投稿を2020年度は積極的に進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末にかけてCOVID-19の影響にて,数種の予定が一旦取り止め・延期となっているため。 2020年度は,延期されていた各種の打合せや現地調査等を状況をみながら再開するため,次年度使用額はその分に当てることを想定している。
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