本研究では,戦後日本の高度経済成長期のハウジングにおいて一定の役割を担うことになった住宅生活協同組合の成立経緯について分析しその特性を検討した。さらに,住宅生協が開発した具体的な3地区について居住環境の実態把握とその形成を方向付けた諸条件の整理を資料調査及び現地調査によって試みた。その結果,住宅生協が政府の持家政策に組み込まれるかたちで成立したこと,それにより開発された団地が一般的な分譲住宅地と同様の形式になったこと,一方で居住者の主体的な働きかけにより居住環境が形成されていくこと,その過程で団地の共同性が生成され,それが地域外にも開いた空間利用に展開したことなどが明らかとなった。
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