研究課題/領域番号 |
18K13905
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金 度源 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40734794)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重要伝統的建造物群保存地区 / コミュニティ防災 / 地区防災計画 / 防災活動 / 防災文化 / 防災資源 / 防災活用 / 類型化 |
研究実績の概要 |
重要伝統的建造物群保存地区は、国の財産として、町並みを保全するための取り組みがなされている。歴史的な町並みの残る地域の多くでは、初期消火活動の担い手不足による延焼火災や地震時に空き家が倒壊することによる被害の拡大等が懸念されるため、防災上の対策が必須である。文化財として町並みが保護される重伝建地区においては、歴史的景観や建造物を継承することを優先するため、ソフト面の防災対策や既存の地域資源を活用した防災対策が必要となる。 当年度はコロナ禍における影響を受け、最終年度として予定していた詳細な現地事例調査を実施することができなかった。一方で、昨年度の研究成果に基づいて考古学ジャーナルのような学術雑誌や歴史都市防災論文集への投稿を行い、研究成果の社会還元を一定果たすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2018年度には当初の計画を一部修正し、伝建地区の事例調査から着手した。また文化庁の伝建地区担当調査官との打ち合わせを通して、データベースをしていく上で必要とされる要素について整理することができた。 2019年には、初年度に予定していた全国調査に着手した。全国調査方法についても当初の計画から一部修正を行い、48ヶ所の重伝建地区の地区防災計画を収集・閲読し、防災対策に活用される地域の防災資源の抽出を行った。その結果、684個の地域の防災資源から大項目として人的資源、緑水資源、情報資源、不動産資源として分類し、20個の小項目まで分類することができたことから、最終年度においては、この20個の小項目について事例調査を行う道筋が立っている。 2020年には新型コロナウィルス感染症の影響で事例調査を行うことができなかったが、2年間の成果の一部を論文として公表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、20個の小項目に類型化できた地域の防災資源、「地元組織」、「個人」、「地区行事」、「海」、「河川」、「地区水利」、「樹木」、「私有敷地」、「公有敷地」、「所有者不明の敷地」、「私有建物」、「公有建物」、「所有者不明の建物」、「経路」、「地区構造」、「建物要素」、「情報伝達収集」、「防災手引」、「観光情報」、「その他設備」に対して、伝建地区における現地事例調査を行う予定である。 一方で、新型コロナウィルスの影響により現地調査が難しい状況から、調査方法の大幅の修正が必要とされていることや、緊急事態宣言などを考慮しながら現地調査が可能となる時期を計りながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において詳細現地調査を実施できなかったことより、研究期間の延長とそれに必要な研究経費を確保することになった。 これに従って、2021年度には研究としてのまとめになる最終年度であることから、詳細現地調査の実施と調査データの整理、論文投稿などに経費を使う予定である。
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