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2018 年度 実施状況報告書

<百年カンポン>における土地供給とコミュニティの持続性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K13907
研究機関東京大学

研究代表者

林 憲吾  東京大学, 生産技術研究所, 講師 (60548288)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードカンポン / 土地所有 / ブタウィ・ハウス / コミュニティ / 移築 / 花卉市場 / ジャカルタ / インドネシア
研究実績の概要

本研究は、ジャカルタを対象に、植民地から継続する歴史的カンポン(<百年カンポン>と呼称)が、独立以後の人口流入に対して、どのような仕組みで土地を供給したのか、さらには、その過程で、植民地期のブタウィ人コミュニティがどの程度継承しえたのか、について明らかにすることを目的としている。本年度(2018年度)は、①ジャカルタ全域のカンポンの定量分析と実地調査での検証、②ラワ・ベロン地区でのブタウィ人コミュニティに対する聞き取り調査と伝統的木造住宅の残存状況の把握を行った。
定量分析では、研究代表者がこれまでに作成したジャカルタ全域における居住環境の類型別分布図(250mメッシュ単位)に、2000年の人口センサスを組み合わせて、ブタウィ人割合の相対的な高さなど、<百年カンポン>の特性を明らかにした。また、カンポンでは、統計と実態の乖離が懸念されるため、複数の地区で実地検証をおこない、分析結果に妥当性があることを確認した。これについては、「建築学会都市史小委員会」にて、その成果の一部を報告した。
土地供給とコミュニティの継続性に関する詳細調査については、具体的な調査対象地を西ジャカルタのラワ・ベロン地区に絞り込んだ。その理由として、この地区が植民地期より花卉生産地として有名であり、歴史資料の発見が予想される点、植民地期に建設されたブタウィ・ハウスが2棟残っており、土地区画の変化を解明しやすいと判断される点を挙げることができる。次年度以降の土地区画の詳細な変容過程の解明に向けて、UAVを用いた居住地全域の航空写真の撮影と、画像解析ソフトによる調査用地図の作成をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実地調査の開始に遅れが生じたものの、上記のとおり次年度以降、ラワ・ベロン地区で調査するための準備を整えることができた。現地協力者としてインドネシア大学のエファワニ・エリサ氏と本研究に関わっていただき、同大学と共同でラワ・ベロン地区の現地調査を実施することになった。一方で、土地局への聞き取り調査から、地籍図の閲覧はやはり困難だとわかった。そのため、土地区画の変容を面的に理解するには実地調査によらざるを得ないが、どこまで拡大できるかを次年度の調査を踏まえて検討したい。

今後の研究の推進方策

次年度は、ラワ・ベロン地区に関する歴史資料の探査・収集、詳細調査を重点的に進める。詳細調査では、本年度に協力を依頼した、数世代にわたって当該地区に居住するブタウィ人家族を中心に聞き取り調査を進め、併せて、ブタウィ・ハウスの実測調査、花卉生産地と市場の調査をおこなう。聞き取り調査では、遺産相続に際する土地分割の仕組み、新規流入者への土地売却の流れ、モスク建設のための土地寄進の方法、土地権利のフォーマル化の実態、などについて明らかにしていきたい。ブタウィ・ハウスについては、本年度の調査から、住民が家屋をかついで移築させる行為が、近年まで比較的継続的に実施されていたことがわかった。そのため、移築儀礼やブタウィ人コミュニティとの関係についても調査を進めていく。成果については、国内外での学会報告や論文執筆を随時おこなうとともに、カンポンでの報告会も実施したい。

次年度使用額が生じた理由

定量分析の準備に時間を要したため、実地調査の開始が遅れたことが原因である。実地調査で、インドネシア大学、ラワ・ベロン地区の住民と、次年度以降の調査協力を快諾いただいたため、使用できなかった額をもとに、今年度の調査協力員を増員し、重点的に実地調査を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] インドネシア大学(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      インドネシア大学
  • [学会発表] ジャカルタ都市圏における百年カンポンの形成2018

    • 著者名/発表者名
      林憲吾
    • 学会等名
      日本建築学会都市史小委員会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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