従来のカンポン研究が相互扶助による住宅建設や増改築など戦後の人口流入に対する住民の共助的適応に関心を寄せてきた一方で、植民地期からのコミュニティの継続性など、これまでほとんど顧みてこなかったカンポンの歴史的価値を本研究は提示できた。成熟期に入ったジャカルタで歴史性を活かしたまちづくりや都市計画を進めるための契機となるだろう。また、カンポンはインフォーマル居住地として認識されているが、スクオッターではなく、正規/非正規の土地権の使い分けが居住のセーフティネットを形成する上で重要な働きをする示唆を得た。
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