部材の材種や形状、接合部に着目して、クリスタル・パレスと同時代類似建築との相対化を行うことで、クリスタル・パレスに適用された技術が、必ずしも純粋な合理性によってのみ選択されていたわけではないことがわかった。同時代に同様の思想でつくられた鉄とガラスの建築はクリスタル・パレス以外にも存在しており、時にはクリスタル・パレスよりも合理性に優れたディテールを持ったものもあった。鉄が建築に受容されていく過程において、クリスタル・パレスもまたその過渡期に生まれた無数の建築のひとつであった。またこのことにより、建設プロセスのなかに、通常設計者とされるジョセフ・パクストン以外の多くの人物の関与を確認出来た。
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