研究課題/領域番号 |
18K13911
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 京都美術工芸大学 (2019-2021) 大阪大学 (2018) |
研究代表者 |
岡北 一孝 京都美術工芸大学, 工芸学部, 講師 (00781080)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ルネサンス / バロック / サン・ピエトロ聖堂 / リノベーション / 再利用 / 創造的修整 / 聖遺物 |
研究成果の概要 |
新しいサン・ピエトロ聖堂(以後、新聖堂とする)は、莫大な資金と、数多の優れた芸術家たちの奉仕によって形づくられたキリスト教建築文化を代表する建築である。とりわけ15世紀から17世紀にかけての構想と創作のバトンは、結果的にこのモニュメントの荘厳さと崇高さへとつながったように思える。この壮大な造営事業は、3世紀にわたって新聖堂を建設することと同じ時間をかけて、4世紀創建の由緒ある旧サン・ピエトロ聖堂(以後、旧聖堂とする)をどう弔うかでもあった。それは建築のリノベーションの一種であり、創造的修整(過去の建築を大規模に改変する際にみられる、創造と保存を包括した創作手法)と定義できるものである。
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自由記述の分野 |
西洋建築史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
初期近代における新聖堂の造営事業は、大胆かつ頻繁に形状が変化してゆく中にもしっかりと「保存」の概念を組み込んだ、創造的修整の格好の事例であったことを示すことができた。そして、サン・ピエトロ聖堂のような由緒正しき古代末期の建造物を継承しつつ大規模に再建した過程を明らかにしたことで、初期近代ローマの建築保存概念の十全な理解につながったと考えられる。また、保存と破壊と創造の三つ巴こそが、建築創作の隠れた原動力となっていたことを示唆したことは、今日の建築創作における保存と創造の深刻な対立構造という問題を、史的な観点から考察するうえで興味深い事例ともなった。
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