研究課題/領域番号 |
18K13917
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
マルティネス アレハンドロ 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (50807815)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大工技術 / 木造建築遺産 / 基準尺度 / 3次元計測 / レーザー測量 / 無形文化遺産 / 伝統的木造建築 / 大工研修 |
研究実績の概要 |
該当年度に、伝統的木造建築技術の保存継承に関する国内および海外の調査を継続するとともに、現在までの研究成果について日本建築学会大会および国際研究会において研究報告を行った。 1.国内調査:11月27日に山口県岩国市において錦帯橋の保存と大工技術の継承に関する現地調査を行った。岩国市・産業振興部錦帯橋課の職員の協力を得て、錦帯橋の保存・維持修理・架け替え事業の担い手である日本伝統建築技能士・沖川公彦氏に聞き取り調査を行うとともに、氏の技術的指導を得て錦帯橋および岩国市の木造建築遺産の保存の現状に関して調査を実施した。 2.海外調査:新型コロナウイルスの影響で、該当年度に予定していたヨーロッパにおける現地調査を実施できなかったが、2019年度より整えた研究協力体制の下で、バスク州立大学・建築遺産研究所(ユネスコチェア)の協力を得て、スペイン・バスク地方の木造教会に関連する伝統的木造建築技術に関する調査を継続した。 3.研究成果の発表:2020年度日本建築学会大会において、学術講演会を行った(発表タイトル:「バスク地方の教会建築における木造筒形ヴォールト天井に関する調査」)。また、2020年10月14日にメキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)が開催した国際研究会「Reconstruccion: casos y reflexiones fuera de la caja」および、2020年11月21日にINAHとICOMOS国際木の委員会が共同開催した国際研究会「III FORO Arquitectura temporal」において、研究発表を行った。後者について、『イコモスインフォメーション誌』11-8号において、国内向けに内容をまとめた記事を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
該当年度に新型コロナウイルスの影響で予定していた海外調査を実施できなかったが、オンライン国際研究会において研究内容について発信することができた。また、当初計画していなかった、メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)の専門家との情報交換ができ、メキシコにおける伝統的木造建築技術の継承に関する情報を収集することができた。さらに、2019年度より整えたバスク州立大学・建築遺産研究所(ユネスコチェア)との研究協力体制を強化し、今後の現地調査においてさらに研究が発展されることを期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、伝統的木造建築技術に関する国内外の調査を継続するとともに、研究成果の発表を行う予定である。 1.国内調査:伝統的木造建築技術およびその関連技術について、選定保存技術に選定されたものを中心に、継承状況に関する調査を継続する。具体的に、職人・技能者の育成のための研修およびその制度、実施状況について調査を行う予定である。 2.海外調査:バスク州立大学・建築遺産研究所(ユネスコチェア)の協力を得て、バスク地方の木造教会に関する技術を継続する。原則として現地調査を行う予定であるが、新型コロナウイルスの影響で渡航が不可能の場合、現地におけるデータ収集をバスク州立大学に依頼し、情報共有を行ったうえで共同で分析を行うことも想定する。 3. 研究成果の発信:上記1・2の調査の結果を国内外の学術講演会および国際研究会において発表するとともに、国際ジャーナルにおいて論文を投稿する予定である。具体的には、日本建築学会大会、メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)開催国際研究会、ICOMOS国際木の委員会国際シンポジウムにおける研究発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響のため、該当年度に計画していた海外における現地調査を実施できなかったため、海外渡航に伴う旅費を使用しなかった。 次年度使用額について、次年度に海外調査を実施して、旅費として使用する予定である。 ただし、新型コロナウイルスの影響で海外渡航ができない状況が続く場合、研究協力相手であるバスク州大学に現地におけるデータ収集を依頼する可能性がある。その場合、次年度使用額をこれに伴う人件費、物品費として使用することを想定する。
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