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蛇行管で構成される従来型の自励振動ヒートパイプ(OHP)と，蛇行管を1つの大きな円形状に展開したループ型OHPを構築し，OHP全体形状が性能に与える影響を評価した．加熱部（熱源），断熱部，冷却部，逆止弁付き断熱部をセットと定義し，10セットで構成される従来型OHPとループ型OHPの比較を行った．動作における重力の影響を排除した水平設置条件において，双方の形状で加熱部と冷却部間で同等の熱コンダクタンスを示した．また，各セットの圧力を複数個所で計測し，双方のOHPで流体流動方向に進行する圧力波を観測した．形状の差による大きな違いは観測されず，従来型OHPから蛇行部を減少する設計において，性能を大きく変化させずに熱輸送経路を設定可能である成果を得た．
ループ型OHPにおいて，各部を組み換えることで異なるループ内のセット数（10，5，3，2，1セット）を設定し，性能比較を行った．ループ内を加熱部と冷却部が大きく二分する配置となる１セットでは，連続的な熱輸送が起きなかった．2セット以上では正常に動作し，動作中の絶対圧力と熱輸送限界に至る1セット当たりの熱量は，ループ内のセット数に依存しなかった．よって，動作温度とセット間を流動する流量は，セットの分散に影響されない可能性が示唆される．さらに，水平姿勢において2セット配置での動作を確認し，ループ内の熱源と冷却部の分散（セット数）に対してもOHPが高い自由度を有することを実証した．
OHP配管経路の自由度を利用して，宇宙機構体に用いられるハニカムパネル表裏と面内の熱結合を目的としたOHPを構築し，評価した．OHPの熱輸送によりハニカム表裏を模したパネル間の温度差は低減し，放熱面積の低減や低質量で高熱負荷機器の搭載可能性を見出した．さらに，面内熱輸送によって分散配置の熱源と放熱面を高自由度な排熱パスで熱結合するなどの応用も期待される．
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