本研究課題では,水中探査機に搭載されたバッテリの充電方法として,送受電側それぞれに複数個のコイルを使用し,かつ,別途のセンサによる送受電間の情報通信を最小限とするシステムを検討している。令和2年度は,位置ずれ時の高周波インバータによる負荷電圧制御範囲の拡大を目的として,電流源駆動した際の負荷電圧特性を検討し,また,整流器自身による負荷電圧の制御についての評価を行った。 まず,高周波インバータに零電圧および零電流スイッチングが可能な回路構成を適用することで,ソフトスイッチング動作を維持しつつ位相シフト制御による電圧源および電流源動作の切り替えを可能にした。そして,共振周波数追従制御時は電圧源駆動,固定周波数制御時は電流源駆動とすることで,幅広い範囲で負荷電圧を一定に保つことが可能であることを実験により確認した。 つぎに,整流器にも高周波インバータと同様の回路構成を適用することで,自身のスイッチングにより負荷電圧が制御可能になり,その特性についても理論と実験により検討した。また,高周波インバータと整流器ではデッドタイムの影響が異なるため,その影響を理論的に検討し,実験により理論解析結果と同様の傾向が得られることを確認した。 また,非接触給電の回路定数の設計指針として,共振回路の先鋭度が低い場合の共振周波数の変化についても,共振コンデンサを直列または並列に接続した場合の回路構成で検討することで,回路構成間の関係性を明確化し,非接触給電システムの設計指針を示した。
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