研究課題/領域番号 |
18K13948
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 崇俊 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10726574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 集配送計画問題 / 地域計画 / タブー探索法 / 施設配置問題 / シュタイナー問題 / タスクシェア |
研究実績の概要 |
令和2年度は以下の分析を行った. [1].評価関数の再設計:集配送計画問題に関する研究の多くは,エージェントの総移動距離を最小化する,所謂(i)minsum型の目的関数を採用している.minsum基準は扱いが容易であり,ある種の効率性を評価することが可能であるが,作業負荷低減という観点からは十分でないこともある.そこで,作業時間削減を目指したタスクシェアを想定し,(ii) 各エージェントの移動距離のバラつきの均斉化を目指すminmax型の目的関数,(iii)デポで待機する作業員等の稼働時間最小化を目指すminsummax型目的関数を設計した.具体的には公平性を表すパラメータを導入することで,(i),(ii)を統一した関数で表し,また集荷,配送タスクのクリティカルパスに着目した(iii)を評価する目的関数を設計した.また,これらの目的関数を最小化する集配送計画問題に対して数値実験を行うことで,集荷アイテムを再分配する一時的なデポ(以下TD)の目的関数に応じた配置特性を把握した.この分析はアルゴリズムの改良に役立つ知見を導いた. [2].探索アルゴリズムの改良:昨年度行った仮想空間における数値実験及び上記[1]を踏まえ,更なる高速化アルゴリズムを実装し性能を評価した.本年度に実装した近似解法のアルゴリズムは,[1]の実験による効果が大きく,タブーサーチにおける探索の集中化と多様化をバランスさせることができた. [3].貨客混載ドローンを想定したネットワークの構築:ランダムドロネー網を用いた重み付きシュタイナー問題に対する発見的解法を構築した.本モデルを用いることで,ドローンの航空路を考える上で「障害物」となる山間部やDIDなどを効率的に迂回した高効率な人流/物流ネットワークが構築可能となった.本課題により,本研究の新たな応用例について分析することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画とは若干異なるが,いくつかの大規模な数値実験を除き,いずれの項目もほぼ想定したレベルの成果を挙げた.具体的には,研究実績[1]では,考えられる集配送計画問題のバリエーションに対しても,タスクシェアという観点からの評価可能になった.また,提案した目的関数を用いた実験を行い,TDの配置特性を十分に分析することで,探索アルゴリズムの改良が可能となった.本年度は新型コロナウイルス流行のため,計算機を使った大規模な数値実験が満足いくレベルまで行うことが困難な状況であったが,研究実績[2]では,部分問題化した比較的小規模な実験を繰り返し行うことで,より高い探索性能を有するアルゴリズムの実装が可能になった,研究実績[3]は当初の研究計画では想定していなかったものであるが,TDとシュタイナー問題の類似性に着目することで,既存の配送拠点を“駅”と想定することで貨客混載を実現する際の新たな問題に対する解を導出することが可能であることが明らかになった.昨年度に実装した街路ネットワークデータを自動的に生成することができるアプリケーションと合わせ,本年度の成果は次年度に推進する課題を効率的に行うことに大いに役立つと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度に改良,実装したアルゴリズムを用いて実際の都市における街路ネットワークと建物ポイントデータに対して提案モデルを用いた分析を行いながら結果を整理することで,引き続き着実に研究を推進する.また,得られた研究成果を積極的に学会発表し,広く成果を社会に発信する.
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次年度使用額が生じた理由 |
所与のノード分布と選択される配送システムの関係を解明するという研究を進めているが,本年度は新型コロナウイルス流行のため,計算機を使った大型の実験が満足いくレベルまで行えなかった.この研究の推進および研究成果の発表のために,次年度に予算を要する.
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