研究課題/領域番号 |
18K13950
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
佐々木 康朗 学習院大学, 経済学部, 教授 (70743772)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 意思決定 / 知識 / ゲーム理論 / 気づき |
研究実績の概要 |
昨年度までに引き続き、主に知識移転・共有のミクロ的基礎に関する基礎的な理論モデルの構築に取り組んだ。ここでいうミクロ的基礎とは、他者への知識移転を、個々の意思決定主体による意思決定の結果と捉えた場合の相互作用メカニズムを指す。必然的に知識の提供者と受容者が関わるため、複数意思決定主体の相互作用を扱うゲーム理論が基礎となる。特に、本テーマと相性が良いと考えられる、気付きの非対称性を考慮したゲーム理論の枠組み(games with unawareness)に関して、下記の検討を行った。 1. 意思決定者が複数の意思決定基準を持つ多基準ゲームにおいて、意思決定基準に関する気づきの非対称性を導入したモデルを構築した。そのようなゲームの解概念として、既存のゲーム理論における合理化可能性の概念を拡張して定義し、その数理的性質について議論した。この成果に関しては、ゲーム理論等を扱う数理社会科学の論文誌Mathematical Social Sciencesに掲載された。 2. 戦略集合に関する気づきの非対称性を含むゲーム理論モデルにおいて、従来、定常状態としての均衡概念の議論が必ずしも十分になされていなかったが、これを克服するものとして、合理化可能自己確証均衡を定義し、認識的ゲーム理論の枠組みを応用してその認識論的特徴付けを行なった。 既存の解概念との関係性についても整理した。この成果に関しては、査読付き論文誌へ論文を投稿し、改訂要求に対応中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究以外の業務が極めて多忙のため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの基礎的な研究をもとに、意思決定者間の知識移転、共有を明示的に扱う理論的モデルの構築、および実験室実験などを通じたその実証的検討を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり多くの学会等がオンライン開催となり、旅費が発生しなかったため。次年度の旅費、論文掲載費等に充てたい。
|