研究課題/領域番号 |
18K13951
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
土井根 礼音 東京電機大学, 総合研究所, 助教 (20784424)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械学習 / 視覚による疲労 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの開発である.令和2年度の目標は,令和1年度に引き続き「人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤となる機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズム開発と,システムの基盤技術の試作」,および「肉体的疲労度の遠隔アラームシステムの開発」である.しかしながら,新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,所属大学での研究活動および大学内外での計測実験を十分に実施することが困難であったため,令和2年度は,(1)操船者の肉体的疲労の度合い(以降,肉体的疲労度)を予測する機械学習方法の検討および機械学習プログラムの試作と(2)令和1年度までに得られた成果発表を行った. (1)操船者の肉体的疲労度を予測する機械学習方法の検討および機械学習プログラムの試作では,従来研究で取得した加速度・角速度データを用いて生体のエネルギー消費量を予測する機械学習プログラムの検討を行なった.(2)令和1年度までに得られた成果発表では,操船シミュレータを用いて視覚情報が疲労度に与える影響を立位姿勢動揺の観点から分析した成果を国内学会にて発表した.波浪映像を視覚情報として生体に与え,映像により生じる立位姿勢動揺を加速度・角加速度,エネルギー消費量に基づく運動負荷,重心動揺を指標として評価した.重心動揺の前後・左右方向の軌跡長より,生体の立位姿勢動揺は,波浪映像の波向きに応じて生じることがわかった.本成果により,生体の疲労度を評価する上で視覚が重要なファクターの一つであり,その評価指標として重心動揺が有効であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は,令和1年度に引き続き「人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤となる機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズム開発と,システムの基盤技術の試作」,および「肉体的疲労度の遠隔アラームシステムの開発」を目標とした.しかしながら,新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,所属大学での研究活動および大学内外での計測実験を十分に実施することが困難であったため,研究の進捗が遅れている.このため,令和2年度は,人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤技術の検討と試作,および令和1年度までの成果の国内学会での発表および国際学会への演題投稿を行なった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの開発を目的とし,(1)iPhoneを用いた動揺計測装置の構築,(2)人工知能を用いたエネルギー消費量の予測アルゴリズムの開発及びアラームの検証,(3)肉体的疲労度の遠隔アラームシステムの検証の3年間のステップで,システムの実現を目指している.新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,令和2年度は,(1)操船者の肉体的疲労度を予測する機械学習方法の検討および機械学習プログラムの試作と(2)令和1年度までに得られた成果発表を行った. 令和3年度は,引き続き新型コロナウイルス感染症対策を実施する必要があるため,当初計画していた複数人の身体にセンサを取り付けた検証実験が困難であることを鑑み,過去に小型船舶上で計測した生体データを活用し,(1)操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤となる機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズムの試作,および(2)試作したエネルギー消費量の予測アルゴリズムの検証を行うことを目指す.(1)機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズムの試作では,スマートデバイスであるiPhoneで計測した加速度・角速度データをコンピュータで取得するプログラムの試作,および生体の頭部・腰部の加速度・角速度データからエネルギー消費量を予測するプログラムの試作を行う.また,(2)エネルギー消費量の予測アルゴリズムの検証は,過去に小型船舶上で計測した生体データを学習データとして活用し,操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤となる機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズムの開発を目指す予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は,新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,大学での研究活動および大学内外での計測実験を十分に実施することが困難であったため,補助事業期間の令和3年度までの延長を申請した.このため,当該年度は主に令和1年度までの研究成果を国内学会で発表すると共に国際学会への演題投稿を行い,必要な実験機器や機材,消耗品などの購入費用は令和3年度に繰り越す運びとなった. 令和3年度は,(1)人工知能を用いた操船者の肉体的疲労を対象とした遠隔アラームシステムの基盤となる機械学習によるエネルギー消費量の予測アルゴリズムの試作,および(2)試作したエネルギー消費量の予測アルゴリズムの検証を行うことを目指す.研究費は,主に機械学習用のコンピュータやMATLAB&Simulinkなどの機械学習や演算を得意とする専用ソフトウェア,データ分析のための統計解析用ソフトウェア,実験用機材試作用の3Dプリンタマテリアルなどの消耗品に使用予定である.
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