研究実績の概要 |
本年度は, (1)問題のモデル化: Conditional Value-at-Risk (CVaR)のリスク尺度を用いた確率計画問題としての定式化の提案を以下のように遂行した. (1) 手術の所要時間の不確実性を考慮し,どの手術室でいつ手術を開始するかを決定する手術室のスケジューリング問題のモデル化を行った.具体的には,予定の手術終了時刻からの大幅な遅延による待ち時間を回避するために, リスク尺度としてCVaRを目的関数に考慮した.各手術の所要時間を確率変数とし,対数正規分布に従うとした.手術の所要時間の組み合わせのシナリオを100個生成し,数値分析を行った.これらのシナリオは実データから作成した.手術の遅延時間の期待値とCVaRを目的関数に考慮し,それらの考慮度合いを変更した結果, 手術の遅延時間の期待値とCVaRにトレードオフの関係があること,両方を目的関数に考慮することで,一方のみを考慮するときよりも総待ち時間が最小になることが明らかになった. 本年度は,上記の成果の一部を,講演会や国内学会にて発表を行った.
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次年度使用額が生じた理由 |
大規模な数値分析を効率よく実施するために,より高機能な最適化ソフトウェアを購入する予定であったが,現問題規模に対しては現有ソフトウェアによる求解が可能であったため,未使用額が生じた.しかし,次年度以降, 手術と手術室数の増加に伴う変数と制約式数の増加によって,大規模な計算実験が必要となるため,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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