研究課題/領域番号 |
18K13953
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大久保 豪人 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40777976)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 異常検出 / 条件付き異常検出 / ロバスト統計 / ガンマ・ダイバージェンス / スパース・モデリング / ガウシアン・グラフィカル・モデリング |
研究実績の概要 |
本研究では,センサー・データを活用した設備機器等の状態監視システム等の実現に向けて,ロバスト・スパース・モデリングを応用した実用的な異常検出法の開発を目的としている.2018年度は,統計モデルにガウシアン・グラフィカル・モデルを仮定したもとで,ロバスト・スパース・モデリングを応用した異常検出プロシージャの開発を目標として研究に従事した.その際,申請者らのこれまでの研究成果の一部を再評価する必要性が生じたため,それも併せて実行している. 【研究実績I】Ohkubo & Nagata (2017)の研究成果を発展させ,タイバージェンス型メソッドに基づくロバスト推定法を応用した異常検出プロシージャを実務的な観点から再評価を行った.本研究により,高汚染データを対象として,異常検出プロシージャを開発する意義が明確になったといえる.なお,本研究の成果は,これまでの成果と併せて論文にまとめ,国際誌への投稿を行っている. 【研究実績II】Hirose et al. (2017)のロバスト・スパース・モデリング法を応用した異常検出プロシージャを開発した.本研究により,高汚染かつ高次元データを対象とした場合でも精度よく異常検出を実行できることを示した.ただし,モデル評価をいかに実行するかは次年度の課題としている.なお,本研究の成果の一部を国際会議にて発表している. 【研究実績III】Song et al. (2007)の条件付き異常検出プロシージャを,彼らとは異なる問題設定のもとで実現する条件付き異常検出プロシージャを提案した.本研究は次年度以降に実施する研究に先駆けて,高汚染かつ高次元ではない状況を想定したもとでの異常検出プロシージャを開発している.次年度以降,本研究成果を発展させる方向で研究目標を達成していく予定である.なお,本研究の成果を国際会議にて発表している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は当初の予定にはなかった【研究実績I】に関する研究を遂行する必要性が生じたものの,年度中の研究目標である【研究実績II】に関する研究はほぼ予定通り遂行できた.加えて,次年度以降につながる【研究実績III】も遂行できている.よって,これらを総合的に判断すると,現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」といえる. ただし,【研究実績II】と【研究実績III】については現状,実務的な観点からの評価と考察が不十分であるため,その内容を次年度も継続して実施する必要があると認識している.一方で,この問題に対しては,国際会議における参加者のフィードバック等から解決の方向性を見出しているため,次年度の大きな障害とはならないと考えている.【研究実績II】と【研究実績III】の内容についても,今年度の【研究実績I】と同様に,研究内容を発展させたうえで,国内または国際誌への論文投稿を行いたい.なお,【研究実績I】については2019年5月時点で国際誌への採択が決まっている.
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は当初の予定通り,高汚染かつ高次元データ解析への展開を見据えた条件付き異常検出プロシージャの開発を中心に研究を遂行したい.特に,どのような統計モデルを設定すべきかを実用性と実現可能性を考慮しながら検討していきたい.一方で,当初の計画では,今後の課題とする予定であったものの,ハイパーパラメータの決定に関して,ベイズ的なアプローチを導入することが有用であるとの知見を得ている.この知見を実用レベルに高めることは最終的な研究成果の有用性の向上につながると予想される.よって,2019年度は,条件付き異常検出プロシージャの開発に並行して,異常検出におけるハイパーパラメータの決定に関する研究にも従事したい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
スケジュールの都合上,当初予定していた(国内)学会発表に参加できなかったため次年度使用額が発生している.次年度使用額は,2019年度に参加する学会発表の参加費として使用する計画である.
|