本研究では,センサー・データを活用した設備機器等の状態監視システムの実現に向けて,ロバスト・スパース・モデリングを応用した実用的な異常検出法を開発することを目的としている.2021年度は,国際会議にて3件の発表を行うことができた.なお,以下の研究の一部はJSPS科研費21K14372の助成を受けている. 【研究実績I】 運転状況等に応じた複数の正常モードをもつデータからの異常検出を可能とするフレームワークを開発した.このフレームワークのもとでは,学習データに正常モードに対応したラベルが付与されている場合に限られるものの,これまでの研究成果を複数の正常モードをもつデータに対して容易に展開することが可能となる.なお,この成果の一部を2021年度の国際会議にて発表し,Best Paper Awardを受賞した. 【研究実績II】Ohkubo & Nagata (2018)で提案した異常検出プロシージャ,すなわち高次元データからの異常検出をより適切に実行できる異常検出プロシージャを新たな観点から再評価した.ノイズ掃き出し法などの高次元主成分分析を応用したプロシージャとの比較研究を行うとともに,Ohkubo & Nagata (2018)の拡張について一定の方向性を見出すことができた.なお,この成果の一部を2021年度の国際会議にて発表している. 【研究実績III】異常検出プロシージャを統計的パターン認識の枠組みに則って実行する方法について議論を行った.その予備的な研究として,タグチのT法を分類問題に応用するプロシージャを開発した.この成果を21K14372に引継ぎ,分類問題ではなく異常検出問題に適用可能なプロシージャに発展させる予定である.なお,この成果の一部を2021年度の国際会議にて発表している.
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