研究課題/領域番号 |
18K13956
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
本城 豊之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 助教 (20710643)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒューマンダイナミクス / 床面振動外乱 / 姿勢維持 / ウェアラブルセンシング |
研究実績の概要 |
日本国内は鉄道網が非常に発達しており,日常生活において利用者は車両からの振動の影響を受けることになる.また,高齢社会にある日本では高齢者の鉄道利用も多く,健常者を含め,転倒予防によるQOLの維持・向上といった安全や快適性への配慮は重要な課題である.そのため,より安全な利用のために,近年の通信技術や計測技術の向上を考慮し,人の姿勢維持機能や環境からの外乱に対する応答特性といった鉄道利用者である人間の挙動を踏まえた新たな安全指標の開発や利用中の人間の姿勢維持機能を評価し,逐次安全への注意喚起を行うウェアラブルシステムの開発など,人と機械システム双方からの安全への対応が重要になると考える. 本研究では,人間の振動に対する立位姿勢維持能力と応答特性を評価する上で,少ないセンサ数でウェアラブルに計測する計測部位や,評価に有効な数理モデルを導出するために,矢状面内の振動を作成可能な大型振動台と光学式モーションキャプチャシステム,振動台上に設置した床反力計を使用した.周期的な前後方向と上下方向の振動環境下における立位姿勢維持運動を計測・分析した結果から,振動外乱の影響を考慮し,振動台の加振周波数における身体各部位(頭部,胸部,腰部,足部,身体重心)の動揺や加速度,床反力を算出し,鉛直方向の脚長と床反力の値から脚剛性を基にした数理モデルを,身体各部位の中心位置と近傍のマーカ位置との誤差からセンサの配置箇所を検討した.尚,床反力計に含まれる振動外乱の影響は,昨年度実施したおもりを使用した実験結果から補正を実施している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から引き続きヒトの振動環境下における立位姿勢維持運動の計測を実施し,身体各部位の3次元位置と床反力の分析から,床面振動外乱に対する人間の立位姿勢維持運動の分析を行った. 車両等の振動乗り心地の指標として用いられることもある加速度の大きさから,立位姿勢維持時の身体各部位(頭部,胸部,腰部,足部,身体重心)の加速度の評価を行った.結果として,床面の振動パターンによっては特異な結果がみられることを確認した. また,評価モデルと評価指標の確立を目指し,鉛直方向の振動に対して,脚長の変化が確認されたことから,脚部の弾性(脚剛性:Leg stiffness)を評価した.結果として脚剛性の異なる2組に分類されることを確認した. より少ないセンサによる簡便な計測を目指し,省センサ化のための検討が必要であった.今年度は,光学式モーションキャプチャにて計測した立位姿勢維持運動から,身体各部位の中心位置と誤差の少ないセンシング箇所の選定を実施し,より有効なセンサ配置箇所の検討を行った.
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今後の研究の推進方策 |
数値シミュレーションによって立位姿勢維持時の脚剛性と床面振動の関係を分析する.また,脚剛性のウェアラブルセンシングを光学式モーションキャプチャシステムによる計測結果との比較を通じて評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
見積額と実購入額の差の累積に起因するものであり,モーションキャプチャシステムを用いた計測に要する消耗品である反射マーカやマスキングテープ等の購入に充填する予定である.
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