研究課題/領域番号 |
18K13958
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
KIM WOOKYUNG 広島大学, 工学研究科, 助教 (40781852)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ガス爆発 / 火炎伝播 / 自己相似 |
研究実績の概要 |
本研究は、ガス爆発における火炎伝播加速現象の自己相似的な特徴を実験的および理論的に解明することを目的としている。自己相似性を測定する一般的な方法は,大規模ガス爆発実験を実施して大規模な火炎を再現する必要があるため,自己相似性に関する研究事例は世界的にも数例しか報告されていない。そのため,本研究では,無次元化した火炎半径を用いて検討している。初期圧を上げて密度を上げることで火炎帯厚さが小さくなるという火炎の特徴を利用し、本研究では初期圧を上げて小規模実験で大規模実験に相当する火炎を評価している。今年は、初期圧(0.1-0.5 MPa)を上げて希薄水素空気混合気の球状伝播火炎の自己相似伝播を実験的に調べた。水素空気混合気では当量比を下げると熱拡散不安定性により火炎伝播の加速現象が始まる臨界火炎半径が小さくなる傾向が得られた。この傾向は既存の結果と良く一致する。また、火炎半径の経時変化から火炎伝播の加速指数を求め、火炎のフラクタル次元について検討した。希薄水素空気混合気では火炎伝播の加速指数は火炎半径が大きくなるにしたがって大きくなり、火炎半径が臨界火炎半径より約10倍以上大きくなるとある値に漸近する傾向が得られた。得られたフラクタル次元は大規模実験で得られた値に近い結果になった。このような結果から希薄水素空気混合気において火炎半径が臨界火炎半径より約10倍以上大きくなると自己相似的に伝播することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年は、熱・拡散不安定性が火炎伝播加速現象に及ぼす影響を調べるために、希薄水素空気混合気を用いて実験を実施した。当量比が低いほど火炎伝播加速が早くなる傾向が得られ、加速指数が大きくなることが明らかになった。以上のことより、交付申請書に記載した研究の計画の達成度について、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
流体力学的不安定による乱れは大スケールにおいて顕著となるため、支燃性ガスの割合を変化させて火炎の膨張率を変えて実験を行い、流体力学的不安定性が火炎伝播加速現象に及ぼす影響を明らかにする。特に、流体力学的不安定性がフラクタル次元に及ぼす影響を定量的に明らかにする。
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