昨年度は、包装品の固有振動数が製品応答加速度の尖度に及ぼす影響を把握するための指標として、尖度応答スペクトルという概念を提案した。尖度応答スペクトルとは、包装品を1自由度システムと想定し、ある入力波形が1自由度システムに入力されたときの応答波形の尖度を固有周波数ごとに求めたものである。実輸送データに対して尖度応答スペクトル解析を行い、尖度応答スペクトルにより固有振動数が製品の応答尖度に及ぼす影響を把握することができることを示した。 今年度は、ガウス分布を前提としていた従来の緩衝設計方法を非ガウス分布に拡張し、非ガウス分布に基づく新たな緩衝設計方法を提案した。具体的には、1自由度システムの応答の加速度実効値と尖度応答スペクトルの両方を評価指標とした緩衝材選択指針を考案した。 従来法では、1自由度システムの応答の加速度実効値が最も低くなる固有振動数となるように、緩衝設計が行われる。それに対し、提案法では、1自由度システムの応答の加速度実効値と尖度応答スペクトルの両方を評価指標として用いることで、加速度実効値が低くなり、かつ応答尖度も低くなるような固有振動数となる緩衝材を選択することができる。 新しく提案した非ガウス分布に基づく緩衝設計方法では、応答尖度も考慮することができるため衝撃的な振動を消失させるような緩衝材を選択することが可能となる。これにより、最適な緩衝材を選択することができるようになるため、輸送トラブルの低減に貢献できると考えられる。
|