最終年度には,前年度までに行った調査に関する論文等の執筆,自治体の防災政策に関する調査,本課題終了後の研究の継続に向けた準備を,以下に述べるとおり行った。 前年度までに,北海道東北豪雨,熊本地震,胆振東部地震を経験した性的マイノリティの人たち10名に対するインタビュー調査を実施していたが,最終年度は,その結果について,性的マイノリティの人たちと防災政策の展開もふまえつつ,英語論文としてまとめ,投稿した(掲載決定)。他にも,本研究で得られた成果をもとに,専門職向け雑誌のための論考,クィアスタディーズに関する書籍中のコラムを執筆し,掲載された。また,メディア取材にも対応し,研究成果の発信に努めた。 研究実施計画中,遅れが生じていた,性的マイノリティの人たちの災害時ニーズについての自治体の防災政策における対応状況について,自治体の地域防災計画のテキスト分析,取組の好事例に関する情報収集,関係者へのインタビュー調査を実施した。このことについては,2023年度中の論文投稿をめざして,研究成果のとりまとめに着手した。 本研究の継続と発展のため,世界防災フォーラムや,セクマイと医療福祉教育を考える全国大会2023,性的マイノリティの人たちと人権に関わる全米の会議「Creating Change 2023」等での情報収集,防災分野の日米研究者を対象とした日本科学技術振興機構・米国国立科学財団フォーラムへの参加とネットワークづくりを行った。 本研究の成果をふまえて,本課題終了後に向け科研費基盤研究(C)に研究課題を提案し,採択された。次年度以降も,性的マイノリティの人たちも含めた「だれひとり取り残さない」防災の実現に学術面から貢献するため,性的マイノリティの人たちの災害時の経験と国内外の防災政策のあり方・好事例等について研究を継続する基盤を確保することができた。
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