研究課題/領域番号 |
18K13971
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
成田 知巳 湘南工科大学, 工学部, 教授 (00767808)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 落雷 / 落雷位置標定システム / VLF |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が全国に24局展開しているVLF帯の落雷位置標定ネットワークについて、関東地方には50km毎に、少ない地域は県に1局以上観測装置を追加設置する計画であり、2018年度に栃木県1局、長野県1局、埼玉県1局、東京都1局、小笠原父島1局、神奈川県1局、静岡県2局、新潟県1局、石川県1局、京都府1局、香川県1局を設置した。また、海外には、ハワイ、フィリピン、インド、ベトナム(ホーチミン、ダナン、ハノイの3カ所)、グアム、タイ、カンボジアに設置し、2018年度末までに国内40局、国外12局の計52局となり、目標を大きく上回った。この設置により、日本国内はもとより、東南アジア各地の落雷をリアルタイムで把握出来るようになり、インターネットで無料で公開し、気象災害防止に貢献している。 また、リアルタイムの落雷位置情報を1年間通じて集計し、バングラデシュ、インドネシア、タイ、カンボジアで落雷密度マップを初めて作成することが出来た。 さらに、送電線の雷事故との照合を実施し、事故件数の6割以上を本システムが標定していることを確認するとともに、東京電力のLLSと比較した結果、その位置精度は、中央値で1kmとなり、LLSとほぼ同等の精度を持っていることを確認した。 なお、落雷電荷量の推定には、スカイツリーデータと比較検討する必要があるが、設置後にスカイツリーに落雷が無いため、まだ比較が出来ない状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
落雷観測装置を国内および国外に予定を上回る台数を設置し、日本全国はもとより、アジア各地の落雷位置をリアルタイムで把握出来るようになり、各地の落雷密度マップを作成することが出来た。また、東京電力の落雷位置標定装置(LLS)と比較し、概ね同等の精度があることも確認することが出来た。しかしながら、落雷電荷量の推定には、基本となる落雷電流を直接測定する必要があり、東京スカイツリーへの落雷データと比較予定であったが、観測装置の追加設置後、まだ東京スカイツリーへ落雷しないため比較検討が出来ない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
落雷観測装置を日本および東南アジアにさらに15台程度追加設置し、アジア全域の落雷を把握出来るシステムにする。特に、エリアの西端のインドやバングラデシュへの落雷を捉えるため、インド国内に10カ所程度装置を増設する計画である。また、無料でネットにリアルタイムの落雷データを提供しているため、セキュリティを強化する必要があり、エストニアのセキュリティシステムを導入する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の年度末である3/22-27に出張したが、この旅費の経理上の支出が4月となっため、差異が生じた。次年度の計画は予定通り実施する。
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備考 |
リアルタイムの落雷位置情報を無料で一般に公開中。
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