落雷観測装置を全国に展開する計画を立て、2020年度末までに日本各地、北海道から沖縄、小笠原諸島まで53カ所受信局を設置するとともに、磁界波形を含むデータをサーバーに転送し、データベースを構築して保存するシステムを構築した。設置にあたり、全国各地の大学や高専である、北大、北見工大、苫小牧高専、弘前大、東北大、足利大、東京大、千葉大、静岡県立大、大同大、京都大、香川大、高知大、琉球大などの協力を得るとともに、ボランティアを募集して設置した。さらに、海外には、ハワイ大学、ベトナムのハノイ工科大学、ダナン大学、ホーチミン国家大学、タイのラジャマンガル大学、インドネシアのシアクアラ大学、バングラデシュのバングラデシュ工科大学、インドのインド工科大学、アンドラ大学、ラジャスタン中央大学、ジャダプール大学、ネパールのトリブバン大学などの協力を得るともに、ミャンマー気象庁の協力より、合計20カ所に設置した。 その結果、国内53局、国外20局の計73局となり、目標を大きく上回り、アジア最大の落雷位置標定ネットワークを構築できた。この設置により、日本国内はもとより、東南アジア各地の落雷をリアルタイムで把握出来るようになり、インターネットで無料で公開し、気象災害防止に貢献している。 また、リアルタイムの落雷位置情報を1年間通じて集計し、バングラデシュ、インドネシア、タイ、カンボジアで落雷密度マップを作成することが出来た。これによって、例えば、電力設備の耐雷設計における基礎データとして活用できるデータを提供できるようになった。 さらに、送電線の雷事故との照合を実施し、事故件数の6割以上を本システムが標定していることを確認するとともに、電力会社のLLSと比較した結果、その位置精度は、中央値で1kmとなり、精度が高いことを確認した。
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