2021年度もコロナ禍により地域コミュニティ活動に大きな制限がかかり、地域防災力の向上を図る防災イベントの実施ならびに効果測定の実証研究は叶わなかった。しかしながら、研究代表者が所属している立命館大学歴史都市防災研究所が受けた業務委託「豊岡市出石伝統的建造物群保存地区防災計画策定調査分析」を活用して世帯対象にアンケート調査を、さらに関係各所へヒアリング調査を実施し、分析することで、研究目的である「周辺参加住民」を巻き込んだ地域防災力を向上させるための方策を明らかにする」ことを達成した。 具体的には、防災訓練や地域イベントへの参加程度の把握、さらに防災訓練と地域イベントへの参加頻度別に住民を分類し、それぞれの分類における地域防災上の課題を明らかにすることで、行政や研究者を含む外部者からのアプローチ別の対策提案を行った。特に防災訓練に頻繁に参加しない(年1回程度未満の参加)住民について、地域イベントへの参加頻度(年1回以上か未満か)に分けることで、前者の「周辺参加住民」の課題と具体的なアプローチ方策を提案し、現在、論文投稿へ向けた作業を進めている。 さらにコロナ禍では防災活動においてもオンラインの活用が進んでいる。地域防災企画としてオンライン防災訓練などの活動内容の拡充が進んでおり、普段参加しない住民も自宅などから参加できるなど「周辺参加住民」の参加行動に大きな影響を及ぼすことが予測される。そこで、日本国内で実施されているオンライン防災活動や関連研究をレビューし、今後の課題を提示した。本内容についても、今度の成果公表へ向けて準備を進めている。
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