| 研究実績の概要 |
昨年度までの研究で、ホイスラー合金NiCoMnGaの磁場誘起オーステナイト相における特異な磁気熱量特性が実験的に明らかとなった。また磁場中比熱と第一原理計算の結果から、強磁性オーステナイト相（立方晶）では状態密度が微少な格子歪に対し敏感に応答し、それにより電子エントロピーが大きく変化することが明らかになった。最終年度である本年度は、これまでの研究の総括として、Ni-Mn基ホイスラー合金NiMnZ (Z=Ga, In, Sn, and Sb)における巨大磁気熱量効果の発生メカニズムを統一的に理解するために、同じ13族のZ = GaとInの比較を通して、電子の遍歴性が磁気熱量効果に与える影響を調べた。第一原理計算を用いてNiCoMnGaとNiCoMnInのバンド構造と磁気構造およびそれらの正方晶歪依存性を詳細に調べた。結果、原子間距離に応じて磁気構造と結晶構造（および状態密度）との結合に変化が生じ、電子エントロピーに起因する磁気熱量効果に強い組成依存性が現れることが明らかとなった。これらの結果は、Physical Review Materials誌で発表した。
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