走査透過型電子顕微鏡により、サファイヤにおける菱面双晶の母相/双晶界面の原子構造を観察した。界面はテラスとステップからなる構造を取ることが分かった。実験像に基づいてステップを伴う界面の原子構造モデルを構築し、第一原理分子動力学法により剪断ひずみ下におけるステップの移動現象を再現した。結果、ステップが界面に沿って移動する様子が認められた。原子位置の時間変化を解析したところ、ステップの移動に伴いステップ高さ内に含まれる2つのAl原子と3つのO原子が協調的に運動することが明らかとなった。このことにより、サファイヤにおける菱面双晶の素過程は5つの原子の協調的な運動によるものであることが明らかとなった。
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