研究課題/領域番号 |
18K13987
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山田 庸公 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 助教 (60638584)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 準結晶 / 近似結晶 / 高次元結晶学 / X線構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年、P型Cd-Mg-Yb正二十面体準結晶中に見出されたF型超構造の短距離秩序に関して、超構造秩序の長距離秩序を実現し、原子的構造を明らかにする ことを目的とする。具体的な研究内容は、Tsai型正二十面体クラスターからなるF型正二十面体準結晶の6次元周期構造の数理モデルの構築、F型Cd-Mg-Yb正二十 面体準結晶の作成および単結晶育成、そして単結晶X線回折強度データを用いた原子的構造の構造精密化による構造決定である。2019年度の研究成果は、6次元周期構造モデルを作成するためのコンピュータープログラムを開発したことである。F型超構造の形成において重要と考えられるIcosidodecahedronシェルに対応する補空間におけるAtomic Surfaceについて、前年度では、クラスター接合様式(b-, c-linkage)を考慮してAtomic Surfaceを分割し、P型準結晶の6次元周期構造モデルに修正を加えた。ただし、この構造モデルにおいては、クラスターネットワークの隙間に存在するdouble Friauf polyjedronとの接合に関与するIcosidodecahedronサイトとb-linkageに関与するIcosidodecahedronサイトとを明確に区別することができないという問題点があった。そこで、今年度はクラスター周囲の18種類ある局所 環境を考慮したより詳細な6次元周期構造の数理モデルを作成することを目的とし、6次元周期構造における複数のAtomic Surfaceについてのブーリアン演算を行うコンピュータープログラムの開発に取り組んだ。現在、このプログラムを用いて、クラスター周囲の18種類ある局所環境を反映するようにAtomic Surfaceを分割しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元構造モデルを作成する上で、複数のAtomic Surfaceに関するブーリアン演算を行う必要がある。しかし、これを行う計算プログラムはこれまでなかった。今回、これを開発できたことことは大きな成果であり、より詳細な高次元構造モデルの構築が容易になること、また、状況に応じた6次元構造モデルの改善に要する時間が大幅に短縮できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発したプログラムを用いて、F型準結晶のより詳細な6次元構造モデルを構築する。また、並行してF型超構造をとる試料作成に注力する。さらに、これまでにF型超構造の短距離秩序の形成を示す散漫散乱を観測しているが、今後、短距離秩序の形成に関しても研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当初購入予定であったワークステーションを導入が遅れているたためである。今年度にそれを導入する予定である。
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