研究課題
本研究課題はアモルファス酸化物半導体の欠陥起源を明らかにし、その上で電界効果や光照射などの外部刺激により酸素欠損や過剰酸素、不純物水素などの欠陥形成を制御することを目的とした。はじめに、様々なスパッタリング条件でアモルファスInGaZnO半導体薄膜を作製し欠陥起源を調査した。硬X線光電子分光測定において後処理と差分法を組み合わせることによって、酸素欠損が深い欠陥準位を形成する・また過剰酸素は深い欠陥を不活性化するという結論が得られた。この実験結果は新規欠陥制御法を確立する上で重要であると判断し慎重に実験結果を積み上げた。その結果やや時間を取られてしまったが、現在、論文投稿の準備中である。つぎに、不純物を添加したアモルファス酸化物薄膜トランジスタを作成し、シルバコ社のアトラス(デバイスシミュレータ)により欠陥解析を試みた。薄膜トランジスタの伝達特性および出力特性を測定し、デバイスシミュレータで欠陥分布を適切に考慮することで実験結果をよく再現することができ、添加された不純物が作る欠陥準位を抽出することができた。最後に、電界効果等を用いてフェルミレベルを制御することにより、欠陥形成の制御を試みた。バイアス印加や光照射した際のデバイス劣化や過渡的応答の影響も大きく、欠陥制御に有効な手法であるという証拠を得るに至らなかった。しかし、水素添加をすることで超ワイドギャップ材料でもしきい値制御できることが分かり、当初の計画と異なるアプローチであるものの、課題解決できたと言える。
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