C-dots表面の化学修飾による蛍光シフトとその構造的な要因を調べるため、本年度はC-dots表面でのアミノ基と有機シリカの反応サイト近傍での変化に焦点を絞り、蛍光要因を実験的に評価した。 これまでに励起・蛍光シフトが見られたC-dots-有機シリカ系において、出発原料が同じ合成手順で、その原料組成を変えることで、励起・蛍光波長は等しいが、表面アミノ基の割合が異なる3種のC-dotsを得た。これらを用いてエポキシ-アミン反応による化学修飾を行った複合薄膜を作製し蛍光特性を評価した。いずれのC-dotsにおいても、励起・蛍光波長が大きくブルーシフトし、そのシフト量はアミノ基の割合によらず一定であった。このことから、C-dotsの構造内で蛍光に関与する部分構造が存在し、その構造はいずれのC-dotsにおいても共通であるということが示唆された。また、その部分構造は化学修飾により構造変化を伴うが、構造変化に寄与しない不変の部分も共通に存在することも示唆された。このことから、本研究で用いたC-dotsは表面状態の制御が可能でありながらも、共通の蛍光特性を示す特定の構造を有するということが実験的に示された。この共通の部分構造についてはさらなる調査が必要であるが、様々なマトリックスにおいてC-dotsの優れた蛍光特性を利用することができ、水分散以外にも汎用的な蛍光材料として応用可能であることが本研究から明らかとなった。 解析が困難であるC-dotsの構造的な特徴を蛍光特性の変化を用いて物理化学的に解釈することが可能となり、本研究の成果により、他の蛍光物質とは異なるC-dotsの特異性が明らかとなった。
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