研究課題/領域番号 |
18K14006
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
天神林 瑞樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 統合型材料開発・情報基盤部門, NIMSポスドク研究員 (20815980)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 撥水 / 液体輸送 / 濡れ / 表面処理 |
研究実績の概要 |
本年度では撥水表面を構築することにより液体を輸送する技術の基板となる液体の付着メカニズムに関して検討を行った。超撥水・撥水・親水表面に対して外力を変化させながら液体を付着した際の挙動はCassie状態・もしくはWenzel状態をとることが分かっている。これに対して液滴表面に撥水性粒子を吸着させることでその粒子運動性から液体の基板への付着を抑制する手法を用い、non-lossで液滴を輸送できる技術として見出した。そこで本年度ではこの撥水性粒子吸着液滴のCassie,Wenzel状態を超撥水・撥水・親水性基板表面上で外部刺激環境下で調べることにより、本技術の安定的な液滴輸送能を妨げる因子となりうるCassie-Wenzel転移現象について調べることとした。この知見をもとにして撥水表面による任意液滴輸送を基板への付着損失を伴うことなく可能となることが期待できる。 本年度の基礎検討に関しては明確な知見を得られており、シンプルな液滴のCassie-Wenzel転移現象と撥水性粒子吸着液滴の転移現象は全く異なるメカニズム、条件によって生じていることが確認された。これは濡れ現象のファンダメンタルな新規の知見であり、John Wiley & SonsのAdvanced Functional Materials誌(Impact Factor:13.325)に論文掲載済みである。来年度の研究計画に滞りなく突入できそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度目標としていた液体の付着メカニズムに関する研究で優れた知見を得ることに成功した。本成果はJohn Wiley & SonsのAdvanced Functional Materials誌(Impact Factor:13.325)に論文掲載予定である。本論文誌は表面化学分野では世界トップレベルの学術誌であり、この発見を世界に発信できる結果として発表できたことは本年度計画が十分満足いくものであることを示している。本知見をもとにすでに液体の非付着輸送技術を構築中であり、すでに来年度の研究計画の一部を実施中であるため、”当初の計画以上に進展している。”といえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書第二年次計画に基づき研究を推進する。特に濡れ現象の高速度カメラによる動的観察及び、3Dプリンターによる輸送モデルの構築に力を入れていきたい。
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