研究課題
本年度では①液滴に吸着した撥水粒子の界面での密度を制御したときの液滴の安定性の検証、および②撥水粒子の機能化にともなう遠隔非付着液体輸送システムの構築を行った。①に関して、超撥水表面および親水表面に対して粒子付着密度を変化させた液滴を付着させ、その力学的挙動を調査した。その結果超撥水表面では撥水粒子の吸着量によらず液滴は表面に非付着であり、力学的に安定であることを示した。本研究はJohn Wiley & SonsのAdvanced Materials Interfaces誌にアクセプトされ近日公開予定である。そして本発表成果は国際学会Okinawa Colloids 2019で発信され、見事最優秀ポスター賞を贈呈された。また、②に関して、熱・磁性・UVに応答する機能性粒子を合成し、表面に撥水性官能基を就職することで液滴に熱・磁性・UV性を付与した。興味深いことに、この粒子吸着液滴は接触表面のとくせいによらず、輸送効率100%で遠隔移動できることがわかり、さらに遠隔刺激によって内部液体を表面に付着するという刺激応答性のピン留め現象を示した。本現象の解析及び開発した機能性液滴輸送技術の力学的解析を行うことで、新たな知見が生まれると期待する。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度目標としていた非付着液滴輸送技術を開発しただけでなく、液滴輸送を遠隔刺激によって制御できるシステムへ発展させたことから当初の計画以上に進展していると言える。所属研究拠点の変更により実験装置の購入および学会発表の機会が遅れ、本年度の研究費に未使用額が生じたが、次年度に早急に発注し、成果をまとめて発表できるように計画を進めていく。
液滴輸送過程でのダイナミクスを高速度カメラによるPIV測定を用いて解析する。2年度までの研究成果と合わせて学会発表や論文発表を行うことでアウトリーチ活動を行う。
所属研究拠点の変更により実験装置の購入および学会発表の機会が遅れ、本年度の研究費に未使用額が生じたが、研究成果自体は当初の研究計画以上に進んでいる。次年度に早急に実験装置などを発注し、本年度中に成果をまとめて発表できるように計画を進めていく。
World Business Satelliteテレビ東京耐久性に優れた、ハリセンボン風 超撥水材料のご紹介2019年9月19日放送
すべて 2019 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (5件)
Macromol. Rapid Commun.
巻: 40 ページ: 1900464
10.1021/ marc.201900464
ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 11 ページ: 32381~32389
10.1021/acsami.9b09524
RSC Advances
巻: 9 ページ: 21220~21224
10.1039/C9RA04212A
https://www.nims.go.jp/news/press/2019/09/201909100.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091000950&g=soc
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15683719653091
https://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/presspacs/2019/acs-presspac-september-18-2019/porcupinefish-inspires-sturdy-superhydrophobic-material.html
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50031320Q9A920C1MY1000/