研究実績の概要 |
La2(Nb, Y)2O7-δ (LNY) の結晶構造の解明、及び電気伝導度の向上を目的として、研究を行った。まず、SPring-8放射光施設のBL19B2ビームラインにて、Y-K吸収端近傍のエネルギーを有するX線を使ってXRD測定を行った。その特殊なエネルギーによって、Yの散乱因子に異常分散効果を起こし、YとNbの散乱因子の差を広げた。よって、各陽イオンのサイト分配性を精度よく評価することができた。その結果、YとNbはそれぞれ特定したサイトを占有することではなく、混在していることが分かった。また、各陽イオン周囲の局所結晶構造を解析するために、同放射光施設のBL14B2ビームラインを利用し、La-K, Zr-K, Y-K 端のEXAFS測定を行った。特に、水和によるプロトンの導入有無によって、LNYの局所構造を評価するために、1000度の乾燥雰囲気下で脱水した試料、及び300度の加湿雰囲気下で水和した試料を用いた。その結果、各陽イオン種から第一隣接する酸化物イオンの距離及び配位数が増大したことが確認された。しかし、詳細な局所の結晶構造を評価するために、精確な結晶構造モデルが必要である。現時点では、そのモデルを確立するために、努力している。また、LNY のプロトン伝導度の向上について、三価の La を二価の Ca, Sr, Ba で置換し、プロトンの導入に必要となる酸化物イオンの濃度を増やすことを試みた。その結果、Ca と Sr は Ba より比較的高い濃度で La を置換できるが分かった。また、Ca, Sr, Baの濃度が増えることに従って、試料の濃度が高くなる傾向が確認された。
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