研究課題/領域番号 |
18K14015
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池尾 直子 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80647644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生体内分解性マグネシウム / 疲労特性 |
研究実績の概要 |
昨年度、微細化によるin vitro疲労特性に与える影響の傾向が認められたものの、一部データが不足していたことから、追加試験を行い、詳細なデータの取得に成功し、昨年度得られた成果が補足できた。 in vitro疲労特性の改善が認められなかった微細結晶粒材について、破面観察および電気化学試験、分解生成物層の詳細な解析を行った。分解生成物層のEDS結果から、同様の分解生成物層が形成されていることが推察された。電気化学試験の結果、破壊電位は粒径に依存しなかった。以上の結果から、き裂の発生機転となる局所分解が微細化により抑制されず、in vitro疲労特性の改善に繋がらなかったものと考えられた。 以上のように、高強度化に寄与する結晶粒微細化がin vitro疲労特性の解明に繋がらなかった一方で、変形を加えたマグネシウム合金について電気化学試験を実施したところ、自然電位は変形の増加にともない改善する傾向が認められたことから、微細組織制御によりin vitro疲労特性は改善可能であると考えられる。 また、結晶粒界に対する仕事関数に対する第一原理計算の実施が難しかったことから、材料のプロセス条件を変更し、異なる集合組織を有するMg-Ca合金の疲労特性を評価した。その結果、vitro疲労試験中に生じるき裂の位置が特定の加工面に集中するなど、in vitro疲労特性に対して、集合組織は大きく寄与することが明らかとなった。したがって、材料の加工プロセス改善によりin vitro疲労特性が改善可能であることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一原理計算による粒界の効果の導出が難しかったことから、電気化学試験や材料表面の観察を通じて、分解性への影響の評価を実施し、微細化による分解性促進がin vitro疲労特性の改善を妨げることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
疲労試験後の変形組織解析をすすめる。また、今年度は当初予定していた研究成果の公表として、学会での発表を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表として当初予定していた学会発表が、COVID-19による感染症の拡大防止のために取りやめとなった。
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