研究実績の概要 |
マグネシウムの電気化学測定中に発生する水素ガスをその場解析する測定システムを構築し,マグネシウムのアノード部分分極曲線の測定をおこなった.透明なアクリル板により電気化学セルを作製した.電気化学セルの設計では作用極と対極から発生したガスの混合および電極間の電流線分布を考慮した.参照極は作用極近傍に配置できるようにしたため,電気化学測定は三電極系でおこなうことができる.作製した電気化学セルを直接ガスクロマトグラフに接続することで,マグネシウムの電気化学測定中に発生した水素ガスの分析システムを構築した.マグネシウムの電気化学測定および測定中に発生した水素ガスはセル内部を通過するキャリアガスによりガスクロマトグラフの計量管へ運ばれる.水素ガスはマグネシウムの電気化学測定開始後から164秒ごとにサンプリングし,150秒間で分析した.キャリアガスの流量は100 ml / minとした.電気化学測定では,作用極にはマグネシウム板,対極には白金板,参照極には飽和KCl銀/塩化銀電極を用いた.電位走査範囲は浸漬電位から- 1.0 V vs. SSE, 走査速度は40 mV / minとした.電解液には,0.1, 0.5, 1.0 MのNaCl水溶液を用いた.マグネシウムのアノード分極曲線の測定を開始すると,ガスクロマトグラフにより水素ガスの検出が確認された.測定されたマグネシウムのアノード分極曲線は,マグネシウムの溶解および皮膜形成に起因するアノード電流と水素発生に起因したカソード電流が足合わされた値となっているため,定量した水素ガスから水素発生電流を算出することで,マグネシウムの部分アノード電流を明らかにした.
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