研究課題/領域番号 |
18K14029
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
星 芳直 東京理科大学, 理工学部先端化学科, 講師 (20632574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マグネシウム / 局部溶解 / 水素発生速度 / 酸化物皮膜 / in-situ分析 / ガスクロマトグラフィー / アノード部分分極曲線 / カソード部分分極曲線 |
研究実績の概要 |
本研究では,電池作動中の電流変動(電気化学反応)によるマグネシウムの局部溶解進展と水素発生の原因を究明し,電池作動に最適な酸化物皮膜の生成およびその制御による高出力電池開発への新しい指針を確立することを目的としている.今年度は,前年度に構築した電気化学測定中にマグネシウムから発生する水素ガスをガスクロマトグラフィーによりin-situ分析する測定システムの高度化に取り組み,アノード部分分極曲線の測定法の確立をおこなった. 測定システムの高度化では,ガスクロマトグラフィーの分析条件,特に流量およびカラム圧力の条件を精査することで,水素ガスの分析時間の短縮を試みた.装置内の配管の長さ・体積を含めて考慮し,2分程度まで水素ガスの分析時間の短縮に成功した.このガスクロマトグラフィーの分析条件において,三電極法により0.1 M NaCl水溶液中でマグネシウムのアノード分極曲線の測定をおこなった.測定では,アノード分極曲線の任意の電位における電流値とガス分析により得られる水素発生速度が対応する電位走査速度を選択することで,最適なサンプリング数におけるアノード部分分極曲線の解析が可能となった.さらに,この確立した手法により,測定されるカソード分極曲線と発生した水素ガスから見積もられる電流値から構成されるカソード部分分極曲線の関係を明らかにした.以上より,マグネシウムのアノード分極およびカソード分極中における水素発生機構を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた水素ガス解析によるマグネシウムのアノード部分分極曲線の測定法が確立した.この手法をカソード分極曲線の解析へ展開できたため,水素発生機構の解析に着手できた.そのため,総合的におおむね予定していた研究について計画通り進行している.
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今後の研究の推進方策 |
3D電気化学インピーダンス法による電極反応の時定数分離にチャレンジし,電極表面のin-situイメージングと水素発生・皮膜形成の対応関係を明らかすることで電池性能向上因子を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した測定手法による実験の消耗品に関して,計画した実験を一部実施しなかったため. 前年度実施できなかった実験に要する消耗品および資料収集・成果発表の旅費としての使用を予定している.
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