研究課題
本研究では,電池作動中の電流変動(電気化学反応)によるマグネシウムの局部溶解進展と水素発生の原因を究明し,電池作動に最適な酸化物皮膜の生成およびその制御による高出力電池開発への新しい指針を確立することを目的としている.今年度は,前年度に確立した電気化学測定中におけるマグネシウムから発生する水素ガスのガスクロマトグラフィーによるin-situ分析法により,カソード分極中およびアノード分極中にマグネシウムから発生する水素ガス分析を実施した.前年度の測定条件に基づき,三電極法により0.1 M NaCl水溶液中でマグネシウムのアノード分極曲線およびカソード分極曲線の測定をおこなった.水素ガスの分析では,作用極に白金を用いて任意の値に定電流分極をすることで,水素発生電流とガスクロマトグラフィーによるin-situ分析結果から算出した水素発生電流を比較し,良い一致が得られることを確認した.マグネシウムのカソード分極曲線の測定では,各電位における測定された電流値とこれらの電位に対応したガスクロマトグラフィーによる水素ガスのin-situ分析結果から算出した水素発生電流値が良い一致を示すことが確認できた.同様の手法により,マグネシウムのアノード分極曲線測定中における水素ガスのin-situ分析を実施すると,各電位における水素ガス量から算出した水素発生電流値は各電位において測定されたアノード電流値の約半分に相当することが明らかとなった.マグネシウム電極表面のin-situイメージングと3D電気化学インピーダンス測定から,各電位におけるこれらの電流値の関係は分極される電位の影響に加えてアノード分極開始時におけるマグネシウム表面の皮膜形成状態に強く依存していることを確認した.
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Journal of The Electrochemical Society
巻: 168 ページ: 031510~031510
10.1149/1945-7111/abebb0