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2018 年度 実施状況報告書

金属ホウ化物中間相を利用した粉末冶金的手法による熱電ホウ素化合物の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K14030
研究機関東京都市大学

研究代表者

丸山 恵史  東京都市大学, 工学部, 講師 (40780573)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードホウ化反応 / 反応ホウ化焼結 / 放電プラズマ焼結 / 熱電材料
研究実績の概要

本研究課題は、反応ホウ化焼結法を利用した粉末冶金的手法を通してホウ素系材料を作製し、添加元素に伴うホウ素との共晶現象ならびに金属-ホウ素中間相を利用した材料相組織構造制御および熱電特性の高性能化に取り組む。本年度は添加金属の選定ならびに金属ホウ化反応の制御を中心に実施した。また、炭化ホウ素系材料においては、炭素ホウ素の組成比と添加金属量ならびにホウ化機構について実施した。
炭化ホウ素系材料においては、ホウ素と共晶反応が生じるMn, Fe, Co, Niを中心に金属ならびに金属ホウ化物を添加し、放電プラズマ焼結を利用して焼結体を作製した。X線回折ならびに走査型電子顕微鏡(SEM)の他に、押し込み硬さ試験(ビッカース硬さ試験等)を用いて、焼結体の評価を行った。また、ゼーベック係数ならびに電気伝導率の測定を行い、熱電特性の評価を行った。金属添加に伴い、試料の相対密度も増加し、NiやMnを添加した試料においては、相対密度が95%を超える試料も作製された。ビッカース硬さにおいても、金属ホウ化物中間相が存在しているにも関わらず3000HV2を超える試料もあり、高強度高密度な炭化ホウ素焼結体の作製に成功した。またMn添加試料においては、共晶液相から起因したと推察される微細な層状組織も観察された。更に高分解能SEMを用いた組織分析ならびに元素分析を進めるとともに、熱伝導率の測定も行っていく予定である.
金属アルミノボライド(MAlB14型化合物)においては、ZrやSi等の元素添加を実施した。Si添加に関して、微量な添加にも関わらず、室温近傍から500度近傍にかけて、電気伝導率が大幅に向上した。金属アルミノボライド中へのSiの拡散固溶は見られなかったが、電気伝導率が大幅に増加したため、SiへのBの固溶状態等、現在その原因を調査中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

炭化ホウ素系材料において、これまでに、金属ホウ素系中間相を利用することで、放電プラズマ焼結時の温度の低減に成功し、低い焼結温度にも関わらず、高密度かつ高硬度な炭化ホウ素焼結体の作製に成功した。また、炭化ホウ素は広い組成域を有し、ホウ素含有量が増加するにつれて難焼結性が増すが、ホウ素含有量の多い領域も同様に金属や金属ホウ化物を用いた焼結を実施した。得られた焼結体の相組織観察ならびに硬さ試験を行い、炭化ホウ素の生成過程と金属ホウ化物中間相の影響について調査を行なっており、金属ホウ化物の添加量、共晶液相の生成温度を加味することで、ホウ素含有量の多い領域においても緻密な焼結体が得られた。また、一部の添加金属においては、サブミクロンサイズの微細な組織状態を有する試料も得られており、熱伝導率の低減が期待できる結果が得られている。
金属アルミノボライドに関しても、複数の金属ならびに金属ホウ化物の添加を行い、焼結体を作製した。Si添加試料において、高温域(700度以上)においては性能に差はなかったものの、100度~200度の領域においては電気伝導率が0.1(S/m)から10~100(S/m)へと大幅に向上した。Siとのコンポジット化によるものと推察しているが、Siへのホウ素の固溶状態を含めて、材料の複合化と伝導に関して調査中である。

今後の研究の推進方策

引き続き、金属ホウ化物を中間相として利用したホウ素系熱電材料の作製を実施する。
炭化ホウ素系材料については、添加した金属ホウ化物によってサブミクロンスケールの微細な層状組織が観察された。微細組織の発生要因を調べるために、様々な焼結条件にて試料の焼結を行い、相組織観察を行っていく。また、熱電特性に関しても微細向上の導入に伴う格子散乱の向上が見込まれるため、電気伝導率ならびにゼーベック係数での評価に加え、熱伝導率の評価も行っていく予定である。また、炭化ホウ素合成時における金属のホウ化反応において、焼結条件と相状態の知見が得られたため、メカニカルミリング等を用いて金属ホウ化物の分散状態を変更し、相組織状態の制御を試みていく。金属アルミノボライドにおいては、金属ホウ化物中間相の導入に加え、新たな金属の導入ならびに物質の熱分解を利用したホウ素系中間相の生成ならびに組織の微細化を試みていく。
中間相の存在が熱電特性に大きく影響を与えることから、これまでに作製した金属ホウ化物中間相を導入したホウ素系材料において、高温下における構造安定性や中間相の熱安定性の評価を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Mo2Ni1-xCrxB2硬質材料の合成と結晶構造2018

    • 著者名/発表者名
      渡辺順也, 田澤匠, 太田俊樹, 丸山恵史, 藤間卓也, 白木尚人
    • 学会等名
      第34回日本セラミックス協会関東支部研究発表会
  • [学会発表] 共晶液相を利用したMo2NiB2系材料の合成とCu添加効果2018

    • 著者名/発表者名
      田澤匠, 丸山恵史, 藤間卓也, 白木尚人
    • 学会等名
      第13回日本フラックス成長研究発表会

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公開日: 2019-12-27  

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