研究課題/領域番号 |
18K14033
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松井 功 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40738085)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 晶融解溶媒(DES) / アルミニウム / めっき / 大気環境 / プロセス開発 |
研究実績の概要 |
晶融解溶媒(DES)を用いた電解析出法により、大気雰囲気下でアルミニウムを電解析出させることを目的として研究を行っている。具体的には、塩化コリンと尿素から成るDESを溶媒、塩化アルミニウムを溶質とした電解液を基本浴として、電析条件ならびに各種金属塩や光沢剤の添加が、アルミニウムの析出挙動をもたらすかについて検討を行っている。 2018年度は、DES溶媒に対して、溶質として塩化アルミニウムと塩化ニッケルを混合添加することでニッケルの析出とともに微量にアルミニウムが析出することを見出した。一方で、DES溶媒の粘性が非常に高いことから電流密度の増加が困難であった。また、粘性の低下を目的として浴温度を上げることが考えられるが、浴温度を50℃以上に増加させると浴液から泡が発生し、めっきが困難となった。 2019年度は、アルミニウムの析出量の増加を目的として①添加剤の添加によるアルミニウム析出量の増加と②純アルミニウムめっきの実現に向けた浴組成の探索を行った。まず、①に関しては、既存の水溶液系のニッケルめっきで用いられている錯化剤を中心に添加を行い、アルミニウム析出量への影響を調査した。その結果、調査を行った錯化剤すべてにおいてアルミニウム量の減少もしくは未析出が確認された。そこで、②の実現に向けて、DESに対して塩化アルミニウムとジメチルスルホンを添加しめっきを行った。ジメチルスルホンは不活性環境下でアルミニウムめっきを行うための代表的な有機溶媒である。この検証実験の中で、最初の2回のみ大気環境下において金属被膜の析出を確認したが、その後、皮膜の析出を得られなくなった。この点については、今後、より再現性の検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたDES溶媒に対して塩化アルミニウムと塩化ニッケルを添加し、アルミニウムの析出を得ていく方針においては、残念ながらアルミニウム析出量の増加を得るに至っていない。一方で、DES溶媒に対してジメチルスルホンを加えることでアルミニウム単体においても析出を得られる可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
大気環境下におけるアルミニウムめっきの実現に向けて大きな可能性としてDESとジメチルスルホンの混合溶媒という可能性を見出した。今後は、この可能性についてより詳細に検討を行っていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、予定外の研究課題のエフォート増加ならびに学会中止などにより予算に残額が生じた。また、本研究課題は2020年度も実施予定であったが、研究代表者の機関移動にともない研究課題は停止することとなった。
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